英ポンド、22年以来の大幅安-ベイリー中銀総裁が積極的な利下げ示唆
(ブルームバーグ): ニューヨーク時間3日の外国為替市場の取引で、英ポンドが対ユーロと米ドルで約1%下落し、2022年以来の大幅安となった。
イングランド銀行(英中央銀行)のベイリー総裁が英紙ガーディアンとのインタビューで、インフレが抑制された状態にとどまれば、利下げについてより積極的なアプローチを取る可能性を示唆したことに反応した。
ベイリー英中銀総裁、より「積極的」な利下げの可能性示唆
英国が他の主要国・地域に比べ金融緩和で後れを取ると何カ月も考えられてきたこともあって、ベイリー総裁の発言は、市場に大きなインパクトを与えた。投資家は金利差に着目しポンド高を想定したポジションの設定に動き、米商品先物取引委員会(CFTC)のデータによれば、ヘッジファンドの強気ポジションは2018年以降で最も積み上がった状態に近かった。
ユーロの対ポンド相場はニューヨーク時間3日の終盤、0.96%高の1ユーロ=0.8405ポンド、ポンドの対ドル相場は1.1%安の1ポンド=1.3124ドルで取引された。
欧州債や米国債の下げにもかかわらず、英国債相場は上昇し、2年国債利回りは約5ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下し 3.97%を付けた。
クレディ・アグリコルのG10外国為替リサーチ&戦略責任者バレンティン・マリノフ氏は「ポンド高の最良の日々は過ぎ去ったのかもしれない。ポンドはなお買われ過ぎであり、ドルとユーロに対し若干割高と思われる」と見解を示した。
ステート・ストリートのマクロ戦略責任者マイケル・メトカーフ氏は「投資家がポンドのショートを再構築したいのであれば、その余地が今は十分ある。そこに脆弱(ぜいじゃく)性が存在する」と分析した。
それでも、ポンドは今年に入りドルやユーロに対し約3%上昇し、G10通貨でパフォーマンスが最も良い。一部アナリストは、ベイリー総裁の発言が英中銀のハト派転向を本当に示唆しているか懐疑的だ。