塩貝健人はなぜNEC移籍を決断した? CLに出るようなクラブからオファーもあったが...「キャリアプランから逆算」「最終目標はレアル・マドリー」【現地発】
小川とのポジション争いに挑む
トゥーロンではイタリア戦でハットトリックを達成した。 「ああいう1試合でオファーが来る。サッカーってそういう世界じゃないですか」 NECのみならず、他からのオファーが来だしたのは、やはりイタリア戦後だったのか? 「具体的なオファーが来始めたのはそうです。本当にタイミングもあるし、運もある。『イタリア戦で3点取ってなかったら』と考えると...。こういうオファーは絶対来てなかったと思います。そういう意味で、フォワードは1試合で価値を高められるポジションです。ボランチなら安定感。そういういろんな評価軸がありますが、ストライカーは点を取れば正義です。逆にどんなに調子が良くても点を取れなかったら、結果だけ見る人からすると『今日は1点も取らなかったな』となります。 トゥーロンは自分の価値を高める大会になったと思うので、個人的にはあの大会は良かったという思いはありますが、やっぱりアンダー23の大会です。自分がこれから目ざしていくところはフル代表。それこそ五大リーグのトップレベルの選手たちとやんなきゃいけない。あそこで満足することなく、オランダでしっかりもう1回、自分の価値を高めてもっともっと(上に行きたい)。 最終目標はレアル・マドリーまで行くことです。そのためにもこういう厳しい環境に身を置くことは大事だと思う。サッカー面では強度が上がると思うし、コミュニケーション面では最初は苦労することもあると思うんですけども、1回そこを乗り越えた時に、本当に自分の最終目標が届く範囲にあるんじゃないかなと思います」 「キャリアプランから逆算してNECにした」と語った塩貝は「レアル・マドリーが最終目標」とも言った。キャリアプランの最上位に位置するのがレアル・マドリーなのだろうか? 「ワールドカップに出ることが自分の夢。絶対に叶えなければいけない夢というか。年代別代表ですけれど、僕は日本を背負って戦う重みを感じています。本当に国として戦うことがどれだけ誇らしいことかを知っていますし、逆にどれだけプレッシャーになるかも知っています。 負けたら代表の選手にはそんなに優しい言葉もかからず厳しいこともあるけれど、勝った時にヒーローになれる、そういうポジションでもあると思う。僕はその喜びも悔しさも知っています。そういうのが自分は好きなんです。まずクラブで結果を残して、そこまで行きたい。絶対に辿り着けると思っています」 NECのストライカーは小川、塩貝の2人だけ。背番号9を託された19歳は、小川とのポジション競争に挑み得点王を狙う。その高い壁を乗り越えた先に、夢の実現への光が射し込む。 取材・文●中田 徹