世界的画家・モネの展覧会が大阪に、東京会場から12作品追加でパワーアップ
■ 盛況の東京会場から、貴重な「12作品」追加
印象派を代表するフランスの画家・クロード・モネの回顧展『モネ 連作の情景』が、2月10日より「大阪中之島美術館」(大阪市北区)でスタート。日本初上陸を含む約70点がそろい、代表作『睡蓮』の見比べなど、モネの作風の変化を楽しめる。 【写真】大阪会場のみの展示、『テムズ川のチャリング・クロス橋』 印象派誕生から150年を記念し、国内外の所蔵元51館からモネ作品のみを集めた同展。東京開催に次ぐ大阪会場では12作品が加わり、モネが愛情を注いだジヴェルニーの庭の『睡蓮の池』(1907年作品)、『藤の習作』など、人気の高い風景画がより充実した内容に。 印象派以前の初期作品も並び、一際目を引くのは日本初上陸の2mを超える大作。後に妻となる女性や息子らの食卓風景を描いた『昼食』は、人物画・室内が少ないモネ作品のなかで貴重な1枚だという。 そして、モネといえば、86年の生涯で200枚以上も描かれた『睡蓮』シリーズ。池に浮かぶ花や葉、水面に映り込む風景の調和が、色彩や光の描き分けで巧みに表現されている。同展では「同じ対象」を「異なる時間・天候・季節」で描いた「連作」とその過程に焦点をあて、モネ独自の世界観へ迫る。
■ 1つの対象を何枚も…作品を見比べてみよう
『睡蓮』以前にも、ロンドンの『チャリング・クロス橋』、晩年を過ごしたジヴェルニーの『積みわら』など、1つの対象を何枚も描いていたモネ。ノルマンディー地方の海岸風景もそのひとつで、会場で見くらべると同じ断崖ながらも、穏やかな陽射し、風が強そうな寒々しさなど、その日ならではの自然の移ろいに想像をふくらませたくなる印象だ。 同美術館・研究副主幹の小川知子さんは「連作はモネの着眼点が『造形的なモチーフ』から『雰囲気や気象』に移っているのが分かりますね。色の違いで『空気』も表現し、例えば雪もいろんな色を混ぜて描き、質感が伝わってくるよう。初めて『積みわら』の連作を公開した際、当時の人々もその斬新さに驚いたようです」と話す。 同展は5月6日まで開催、月曜休館(開館日あり)。時間は朝10時~夕方6時。入館料は一般2500円ほか。音声ガイドは女優の芳根京子が担当している。 取材・文・写真/塩屋薫