「ダンガンロンパ」との共通点とは? 新作ARPG『TRIBE NINE』の“ソウルライク”なゲーム性を推察
アカツキゲームスとトゥーキョーゲームスは6月6日、リリース予定のゲーム作品『TRIBE NINE(トライブナイン)』の概要を明らかにした。 【画像】新作ARPG『TRIBE NINE』のスクリーンショット 新規IPによるメディアミックスプロジェクトとして、その存在が明らかとなったときから注目されてきた同企画。関係性の深い「ダンガンロンパ」シリーズのゲーム性から、『TRIBE NINE』がもたらすインプレッションを推察する。 ■ダンガンロンパ×死にゲー? 注目のソウルライク・アクションRPG『TRIBE NINE』 『TRIBE NINE』は、何度もトライ&エラーを繰り返すことで、強大な敵に対する攻略法を導き出すソウルライク・アクションRPGだ。舞台となるのは、デスゲームによって支配された近未来のネオトーキョー国。プレイヤーはゲームに登場する少年少女たちのなかから1人を選択し、失った自由と夢を取り戻すべく、死と隣り合わせの過酷なバトルへと挑んでいく。 特徴となっているのは、ポップなグラフィックと、戦略性の高いパーティーバトル。そのビジュアルからカジュアルなプレイ感を持つように見える『TRIBE NINE』だが、先述のとおり、“死にゲー”に分類されるゲーム性を持つ。そうしたギャップもまた、同タイトルのオリジナリティであると言える。 公式によると、仲間はそれぞれに独自の個性を持つため、その組み合わせによって攻略方法が多種多様に変化するのだという。プレイヤーが操作するキャラクター以外のメンバーは、敵を惹きつけたり、回復を行ったりと、状況にあわせてオートで行動するそうだ。また、キャラクターにはレベルアップの概念のほか、装備やステータスの割り振りといった成長要素もあるとのこと。自由度の高い育成も同タイトルの魅力のようだ。 対応プラットフォームは、PC(Steam)とモバイル(Android/iOS)。料金モデルは基本プレイ無料(アイテム課金型)となっている。2024年8月にはPCプラットフォームにおいて、クローズβテストも開催予定。発表と同日にはテスターの募集もスタートした。 一連のプロジェクトからは、テレビアニメやWEBTOONなども過去に展開されている。他メディアの作品とゲーム、それぞれの世界観がどのように交わっていくのかにも注目だ。 ■ダンガンロンパに存在する対照性、そして『TRIBE NINE』との共通項 原作にクレジットされているトゥーキョーゲームスは、「ダンガンロンパ」シリーズでシナリオ/脚本を担当した小高和剛氏が代表を務めるゲームスタジオである。そうした背景から『TRIBE NINE』は、その文脈上にあるタイトルとも考えられている。 実際におなじプロジェクトから誕生し、2022年に放送されたTVアニメ『トライブナイン』にはキャラクター原案として、「ダンガンロンパ」シリーズにキャラクターデザインなどで携わった小松崎類氏、しまどりる氏の名前が連ねられている。公表はされていないが、おそらくゲーム『TRIBE NINE』におけるキャラクターデザインも、両氏が手掛けているはずだ。 「ダンガンロンパ」は、スパイク・チュンソフトが開発・発売する推理アドベンチャーシリーズだ。これまで3作のナンバリングのほか、1作のスピンオフが発表されている。「推理」という一見難しい題材をテーマとしながらも、とっつきやすいシステム/グラフィックなどで、年齢・性別を問わず、支持されている。2021年11月には、過去のナンバリングをワンパッケージにしたコレクション作品『ダンガンロンパ トリロジーパック + ハッピーダンガンロンパS 超高校級の南国サイコロ合宿』が、2023年6月には「ダークファンタジー推理アクション」として『超探偵事件簿 レインコード』がリリースされ、こちらも好評を博した。推理アドベンチャーのジャンルでは、カプコンの「逆転裁判」と並び、最も認められている作品群であると言っても過言ではないだろう。 「ダンガンロンパ」にはすべてのナンバリング作品を通じ、「超高校級」の才能を持つ高校生たちが「コロシアイ」という極限生活に身を投じる様子が描かれている。「卒業/脱出するためには仲間を殺さなければならない」という理不尽なルールのもとで次々と発生する殺人事件を「学級裁判」によって解決していくことが、同シリーズにおける目的だ。プレイヤーはそれぞれの作品で舞台となる場所をくまなく探索することで、推理に必要な情報を集め、そのストーリーを進めていく。 ここにあるのは、とっつきやすいシステム/グラフィックと、シビアな設定の対照性である。悲惨でグロテスクなシーンと、キャッチーなゲームデザインが織りなすフィクションらしさは、「ダンガンロンパ」シリーズならではのものとも言える。そのような部分に惹かれ、同シリーズを愛好しているフリークも多いのではないか。 ここまでを読み、すでに気づいた方も多いかもしれないが、こうしたシリーズの個性は『TRIBE NINE』にも脈々と受け継がれている。「『デスゲーム』によって支配された国で、少年少女たちが自由と夢を取り戻す」という設定と、ポップなグラフィック・大衆的なシステムが形成する対照性は、先述の「ダンガンロンパ」の個性と同質のものだ。一部異なる点があるとすれば、同タイトルが(決してとっつきやすいとは言いづらい)死にゲーの性質を持つことだが、こうした部分もその配分が変わっただけと考えることができる。 一見すると、シナリオ/キャラクターデザインを手掛けるクリエイター陣が同一であることのみを理由に、おなじ文脈上にあると考えられがちな「ダンガンロンパ」シリーズと『TRIBE NINE』だが、紐解けば紐解くほど、そこにはさまざまな共通項が存在していることになる。 そのような視点から考えると、おそらく『TRIBE NINE』は、「ダンガンロンパ」シリーズと同様に大衆的なシステムを持っているという推論にたどり着く。シビアな設定/ゲーム性と、誰もがとっつきやすいグラフィック/システムという対比によって、同タイトルはファンが期待するインプレッションを届けてくれるのだろう。 クローズドβテストの開催まではあと2か月ほど。今後の続報に注目していきたい。
結木千尋