第一生命「初任給32万円」が話題だが…月収19万円、27歳・エリア採用の営業職員のおたけび「う、うそでしょ?」【CFPが解説】
転職・離職の理由
厚生労働省「令和2年転職者実態調査の概況」によると、自己都合による離職理由の上位は「労働条件(賃金以外)がよくなかったから」が28.2%で最も多く、次いで「満足のいく仕事内容でなかったから」が26.0%、「賃金が低かったから」が23.8%となっています。 働くうえでは賃金も大切ですが、それ以上に働くための条件ややりがいを求める傾向が強くなってきているといえます。 加えて、転職者が現在の勤め先を選んだ理由の上位は、「仕事の内容・職種に満足がいくから」が41.0%で最も高く、「自分の技能・能力が活かせるから」が36.0%、「労働条件(賃金以外)がいいから」が26.0%となっていることからも、やりがいを求める傾向が強くなっていることが裏付けられているといえるでしょう。
ネット系企業からオファーが
転職サイトに登録をしてすぐに、Aさんへオファーがありました。内容を見てみると、同業他社のネット系企業から面談希望とのこと。 オファー内容に興味が湧いたAさんは面談を快諾し、条件を聞いてみることにしました。 オファー先から提示された業務内容は、営業部長として事業拡大のための中核を担ってほしいとのこと。 これまで課員の育成・管理をメインに行ってきたAさんにとって、会社の事業拡大にダイレクトに携わることができる環境は魅力的でした。それまでの大企業の課長という肩書きは一見聞こえはいいですが、Aさんとしては組織の一部という感覚が拭いきれずにいたのでした。 面談を終えたあと、Aさんは入社を決意します。
すべてが思いどおりとはならない転職
転職後の業務内容や会社の雰囲気は気に入っているようですが、思いどおりに行かないこともあるようで……。 「実は、年収は200万円ほどダウンします。前の会社と比べると規模が違うので当たり前ではあるんですけどね」 働きがいを手に入れた反面、収入はダウン。しかしAさんはこれで満足しているといいます。 「今回のことを機に、いろいろ考えましたが、次の仕事は会社をこれから大きくするところから携われそうなので、やりがいを感じられるのではないかと思います。会社にしても、自分にしても、成長を実感できるというのは私にとって一番のやりがいだったようです。入社してみて、もし合わなければまた転職すればいいと思うので、自分のこれまで培ってきたスキルに自信を持ってしっかり頑張ります」 転職に求めるものは人それぞれです。給与を上げるために転職をする人もいれば、やりがいを求めて転職する方もいます。すべてを満たすことができれば一番いいのですが、なかなか見つけることは難しいです。 Aさんは、彼女なりの落とし所を見つけ、納得した条件で転職に踏み切ることができました。 いまや転職は当たり前の時代になりつつあります。現在の働き方や待遇に行き詰まりを感じたら、転職サービス等に登録して条件などを見てみるのもいいかもしれません。 <参考> 独立行政法人 労働政策研究・研修機構 厚生労働省「令和2年転職者実態調査の概況」 伊藤 貴徳 伊藤FPオフィス 代表