斬新な着想を得るための「ランダム刺激発想法」とは?
■ 使い方 次の図に示すフレームワークを使って手順を実施します。 (1) テーマを選定する 発想の基準にする「テーマ」を記入します。 (2) キーワードを選定する 単語を無作為に選定して「キーワード」を記入します。キーワードは以下を参考にして自由な方法で選出してください。 しりとりで出てきた単語 辞書を適当にめくって目にとまった単語 新聞や雑誌をめくって目にとまった単語 SNSで公開されている写真やカタログ、イラストを見て頭に浮かんだ単語 【Memo】 イラストやカタログからキーワードを抽出する場合は、文章ではなく単語として抽出してください。 (3) イメージや単語を抽出する 手順(2)で抽出したイメージや単語を記入します。手順(2)がイラストなどから抽出したキーワードの場合は、ここには元のイラストを記入して、手順(4)へ移っても構いません。 (4) 連想したアイデアを創出する 手順(1)と(2)、あるいは手順(1)と(3)を多少強引にでも結び付けて連想し、アイデアを創出します。文章だけでなく、イラストを使うとイメージを共有しやすくなります。 【ここがポイント!】 連想するアイデアは、実現性をいったん無視して、直感的に出す ■ 事例・参考例:バルミューダ「GreenFan」 バルミューダが開発した「GreenFan」は「次の時代の扇風機」をコンセプトにした商品です。この商品は3万円台という高価格帯でありながら、自然の中で浴びるような心地よい風を吹かせることに成功し、売れ行きは好調です。 このアイデアを生み出すきっかけになったのは、社長の寺尾玄がテレビで大勢の子供たちによる「30人31脚」を偶然見たことです。一直線でスタートしても、足の速い子が遅い子に引っ張られて倒れてしまう。これと同じことが流体でも起きるかもしれないと考えました。 この事例では「GreenFan」のアイデア創出プロセスをランダム刺激発想法にあてはめてみます。 まず、テーマは「扇風機」、キーワードは「30人31脚」とします。 キーワードの「30人31脚」を観察し、「足の速い子が遅い子に引っ張られ倒れてしまう」現象をヒントとして抽出しました。 そして、このヒントをもとに「回転数が遅い羽根」と「回転数が速い羽根」の2枚の羽根を持ち、風を引っ張り合わせて柔らかくする扇風機のアイデアを連想しました。
安岡 寛道/富樫 佳織/伊藤 智久/小片 隆久