「20年以内にスゴいことになる」ブタの臓器を人間に移植⁉実は日本が一番進んでいた「臓器もどき」のヤバすぎる研究内容
人生100年時代。平均寿命が上がり続けている現代の日本では、そう遠くない未来に100歳まで生きることも当たり前になっているだろう。そんな時代にいつまで現役を続けられるのか? どんな老後の過ごし方が幸せなのか? 医療はどこまで発展しているのか? ノーベル賞学者と永世名人。1962年生まれの同い年の二人が、60代からの生き方や「死」について縦横に語り合った『還暦から始まる』(山中伸弥・谷川浩司著)より抜粋して、「老化研究の最先端」をお届けする。 【漫画】刑務官が明かす…死刑囚が執行時に「アイマスク」を着用する衝撃の理由 『還暦から始まる』連載第6回 『「ミニ肝臓」「ミニ脳」を創造! …「認知症の予防にも⁉」iPS細胞に秘められた「莫大すぎる」可能性』より続く
iPS細胞が勝手に臓器の形になる
谷川 「ミニ肝臓」「ミニ脳」というのは、iPS細胞から神経や心筋、血液などの組織や細胞に分化して、臓器などに成長したもの、ということでしょうか。 山中 ええ、いわゆる「ミニ臓器」です。いままではiPS細胞から一種類の細胞だけをお皿で培養するので2次元のものしかなかったんですが、いまは3次元の立体的な臓器をつくる試みがなされています。 すごく不思議なんですけど、iPS細胞やES細胞(胚性幹細胞)を目の細胞に分化させていくと、勝手に丸くなったりして、本当の目と同じように何層か違う種類の細胞が層構造をつくったりします。 脳も何種類かの細胞がバームクーヘンのように層構造になっていますが、これもiPS細胞が自然にそういう構造をつくって脳組織の一部を再現することがわかってきました。 それをたとえば「ミニブレイン」「ミニ脳」と言ったり、臓器(オルガン)もどきだから「脳オルガノイド」と言ったりします。 その研究はじつは日本が一番進んでいるんです。肝臓のオルガノイドをつくって、肝不全の患者さんに移植する研究はまだ臨床試験まで進んでいませんが、近い将来、きっと実現するんじゃないかと思います。