1度でいいから運転してみたい! 伝説の3座マクラーレン「F1ロードカー」から始まった「アルティメットシリーズ」を一挙紹介!!
まさかの後継発表! 派生レーシングカーも持つ過激な2モデル
マクラーレンが、このF1の正式な後継車として、新たにアルティメットシリーズの名を掲げた「P1」を発表したのは2013年のことだ。 当初、P12の社内コードを掲げて開発が進められてきたこのモデルが、なぜP1になったのかは、モータースポーツにおいてPのイニシャルがいかに重要なものであるのかを考えれば一目瞭然だろう。ポールポジションのP、レース中のポジションを表すP、そして最終的にその場に立つことを狙うポディウム(表彰台)のP。そのもっとも価値ある場所に立つという創業以来の哲学を、このP1はロードモデルとして受け継いでいるのだ。 BMW、フィアット、そしてフェラーリでデザイナーとしての手腕を奮ってきたフランク・ステファンソンによるエクステリアデザインのコンセプトは、まず「すべての形は機能に従う」ということ。そして、その機能を「可能なかぎり小さなデザイン要素を包み込む、シュリンクドラップの手法」を用いることにほかならなかった。 実際に完成したP1のデザインをもう一度確認してみてほしい。そのコンセプトは確かにP1のなかに採り入れられているのと同時に、自然界に存在する創造物を強く意識したデザインでもあることがわかるだろう。P1のデビューからはすでに10年以上の時が経過しているが、その斬新さはいまも健在だ。 P1の基本構造体は、当時はモノケージと呼ばれたカーボン製のモノコック。その重量はタブやルーフ、エンジンエアインテークなども含めてわずかに90kgで、これはもちろん当時のロードカーとしては最軽量レベルの数字となる。 搭載エンジンは3.8リッターのV型8気筒DOHCツインターボ。最高出力は737馬力。これに179馬力の最高出力を発揮するエレクトリックモーターを組み合わせ、システム全体では916馬力の最高出力、最大トルクでは900Nmという性能を発揮するのだ。 外部電源からの充電も可能なこのP1は、ゼロエミッションのEV走行も10km以上が可能。数字としては小さなものだがその価値は大きい。 375台の限定生産を終了したP1にはその後、F1GTRの生誕20周年を記念して、2015年に1000馬力仕様のサーキット専用車「P1GTR」が、またそのロード仕様となる「P1LM」が誕生する。 ちなみに前者の購入条件はロード仕様のP1をすでに購入していること。生産台数は正式な発表はなかったが、一方のP1LMは5台の限定車だった。 このP1に続くアルティメットシリーズとして2017年に500台の限定車として発表されたのが「セナ」だ。セナとはもちろん1988年から1993年までマクラーレンレーシングに在籍したF1ドライバー、アイルトン・セナにちなむ車名で、そのコンセプトはサーキット走行を十分に楽しむことができるロードカー。 P1との大きな違いは重量を低減するためにプラグインハイブリッドシステムを廃止したことで、結果、その乾燥重量は1198kgと、外観から想像する以上に小さな数字となっている。 エクステリアデザインは、P1のそれと比較するとさらに過激な印象を与えるものに変化している。各々のディテールは、もちろんエアロダイナミクスを最適化するための処理で、フロントのエアロブレードとリヤのスワンネック式ウイングは、ドライバーの選択によりそのセッティングを変化させることが可能だ。 ミッドのエンジンは4リッターに排気量拡大されたV型8気筒DOHCツインターボ。800馬力の最高出力と800Nmの最大トルクを発揮し、これに7速DCT(マクラーレンはSSGと呼ぶ)を組み合わせる。0-100km/h加速で2.8秒、最高速では335km/hという運動性能は、さすがにマクラーレンのアルティメットシリーズと感動させてくれるだけの説得力を持つものだ。 セナにもその後、さまざまな派生モデルが登場している。2019年にはワイドフェンダーや大型のフロントスポイラー、リヤデフューザーなどで武装した、825馬力のサーキット専用車、「セナGTR」が、さらにそれをデチューンしたロードモデル、「セナLM」などはその代表的な例である。