コンパクトなのに7名乗車/7名就寝を実現! キャブコンキャンピングカー・KAGAYAKI(日本特種ボディー)
キャンピングカーとしての魅力は?
ベース車両がまったくの新型でしたので「車両としての性能」に注目して紹介してきましたが、もちろん「キャンピングカーとしてどうなのか?」も気になりますよね。 概略をご紹介しておきましょう。 サイズは全長4,880㎜×全幅1,900㎜×全高2,850㎜。最近のキャブコンとしてはコンパクトなほうですが、7名乗車/7名就寝を実現しています。 レイアウトは中央部にダイネット、後部に二段ベッドを配置。バンクベッドは引き出し式なので走行時の天井は高く開放感があります。すべてベッド展開すると、ダイネットに2名、後方二段ベッドで3名、バンクベッド3名、合計で7名就寝が可能です。 乗車席としては、運転席・中央席・助手席で3名、ダイネットに4名で乗車定員7名です。居室は、エントランス左に冷蔵庫が、右側のキッチンには電子レンジを標準装備。シンクは給排水が各20Lです。 レイアウトはごくスタンダードな構成ですが、最近では必須装備である家庭用エアコンも標準装備され、居住性はばっちりといえるでしょう。 ユニークなのはサブバッテリーです。「スタンダード電装モデル」と「シンプル電装モデル」とが用意されており、スタンダード電装モデルはリチウムイオンバッテリー・1500Wインバーター・ソーラーパネルを装備。もう一方のシンプル電装モデルにはサブバッテリーは装備されておらず、ユーザーがポータブル電源(エコフロー社を指定)を用意して搭載するようになっています。 「ポータブル電源は日進月歩でどんどん良い製品が出てきますし、追加バッテリーで容量を増やすこともできます。また、キャンピングカーから降ろして多目的に使うこともできるので、こうした装備を考えました」とは、同社の蜂谷慎吾社長。 もうひとつ、車の性能そのものではないながら、注目すべき点があります。それは、KAGAYAKIのWebページやカタログに定員乗車時の積載可能重量がハッキリと記載されていることです。 例えばシンプル電装モデルの場合 車両重量(オプション無し):2695kg 車両総重量(定員乗車時):3080kg 定員乗車時の積載可能重量:410kg ※ただし前輪負荷1900kgを超えないこと と記されています。 「キャブコンはバーストしやすい」などと言われていますが、バーストや横転事故のそもそもの原因の多くは「荷物の積みすぎ」なのです。 しかし8ナンバーのキャンピングカーの場合、車検証を見ても最大積載量の記載はありません。つまり、ユーザーは自分の車の総重量や、どれだけ荷物を積むことができるかということを、カタログなどでは確認できませんでした。そのような現状を受けて、「安全性の観点から明記することにした」(同社:蜂谷社長)というのは同社ならではの英断であり、ぜひ他ビルダーにも見習ってほしいと思います。 最後に気になる価格ですが、シンプル電装モデルで9,982,564円。キャブコンは軒並み1千万円超が珍しくない昨今、良心的な設定と言えるのではないでしょうか。 コンパクトなボディーに必要十分な機能を凝縮し、小回りもよく、安全装備も充実。そして、なにより普通免許で運転できます。キャブコンを検討されている方なら、要チェックの新型車です。 ■著者プロフィール 渡部竜生 キャンピングカージャーナリスト 会社員からフリーライターに転身後、キャンピングカーに出会ってこの道へ。専門誌への執筆のほか、セミナー講師、テレビ出演も多い。著書『キャンピングカーって本当にいいもんだよ!』(キクロス出版)。2輪も4輪も大好きで、飛行機マニアでもある。旅のお供は猫6匹と妻ひとり。YouTubeチャンネル「キャンピングカー坊主めくり」開設。
朝日新聞社