【全文】マンション傾き問題(5完) くい未達の現場は急峻な支持層だった
横浜市の大型マンションの一部が傾いていた問題で、くい打ちを行った旭化成建材の親会社である旭化成が20日午後、都内で記者会見し、浅野敏雄社長が「居住者の皆様には大変ご迷惑をおかけし、関係先各位の信頼を損なうことになった。深く深く反省し、お詫び申し上げる」と謝罪した。 【全文】マンション傾き問題(1) データ改ざんとくい未到達の理由を説明 その後、質疑応答が行なわれ、くいが不具合になった要因や、データ転用が行なわれた理由、今後会社としてどう対応していくのか、などについて質問が出た。 以下は質疑応答の全文。
現場代理人の契約形態は正社員? 契約社員?
日経ビジネス:日経ビジネスのヒロオカと申します。3点教えていただきたいんですが、いま杭を打つ、いろんな現場で打っていらっしゃると思いますけれども、この問題について今やってらっしゃることについては、どのような処置をされているのか、教えていただければ。 それから、その現場代理人の方というのはどのような契約形態、正社員なのか契約社員なのか。 最後に調査委員会と外部調査委員会を、社内と社外に設置するとおっしゃいましたけれども、拝見していると、やることがだいぶかぶっているようですし、ここでその2つ並べてやり続ける、というのはどういうことなのでしょうか。 前田:まず、ご質問の最初の、杭事業、ここのチェック体制ということでございますけれども、これはすぐ私どものほうでこの事実が発覚して、それで、とにかく当たり前のことなんですけれども、仮に記録が取れなかった場合は、それを隠さずちゃんと報告をしなさいと。これはもう当たり前のことですけれども、そういうことを指示をいたしております。 それから今、支持層に当然、到達してないとか。杭は設計どおりにまず造るわけですね、製造しまして、その杭を打つわけですけれども、万が一、今回のような形で支持層に到達したかどうか一部分からない、もしくは、しないと、要するに設計支持層よりも実際の支持層が随分低いところにあるというふうな場合については、今回も本来そうすべきではあったことなんですけれども、ゼネコンさんの現場監督なりにちゃんと報告をして指示を仰ぎなさいと。この2点については早急に指示をいたしております。ただし、これ以上のことにつきましては、今後の当然、調査だとか原因究明によって考えていきたいと、こう思っております。 それから、現場代理人の身分につきましては、当時は出向社員ということでございました。今回の現場代理人、当人につきましては、当時は私どもでなくて向こうからの出向社員。向こうというのは下請けからの出向社員ということでございました。それから、現在は私どもに所属をしている契約社員、私どもの社員でございます。よろしいでしょうか。 平居:委員会を2つにしてどうするんだというお話でしたね。本来であれば、私が委員長としてやる調査委員会で全てを進めていきたいというふうに考えております。しかし、旭化成がやることを信用できるか、という声がございますから、外部委員会をきちっとつくって、われわれの発信することに対する信憑性を少しでもカバーしていただきたい。そういう意図であります。 日経ビジネス:それはこの外部委員会の指揮下に入って? 平居:いやいや、指揮下に入るとかあり得ないです。あ、外部委員会ですか。 日経ビジネス:外部委員会のほうの指揮下に入って、要は、今の社内の調査委員会を外部調査委員会が発足したら、そちらに発展的に統合するとか、経営者の方も、求める信頼性みたいなものも、十分に積んでいけるんではないか、社内では甘いんじゃないかみたいな、そういう疑惑も払拭できるんじゃないかというふうに思うんですけれども、それでも社内の調査委員会というのがどうしても必要だという形になるのか。 平居:外部の調査委員会というのは、外部調査委員会というのは本当に外部の人でありまして、調べようと思うと、どこにどんな情報があって、何をどう調査したいとか、これはいったいどんな事業構造になっているのか、どんな指示命令になっているのか、まったく知らない人たち。知ってれば、外部と言いにくい。そういう人たちでありますから、現実にはわれわれの内部の調査委員会がそれ用の専門知識を持って、きちんと情報を集めて整理し、分析し、それらの情報の集め方、整理の仕方、分析の仕方はこれでいいですか、というふうに確認をしていただく。そういう意味でございまして、外部の人だけで構成した調査委員会であれば、調査にものすごく時間がかかると、そういうふうに思っております。