“生稲晃子議員の靖国参拝報道”はオールドメディアの敗北か? 他社の記者のLINEを鵜吞みにする「マヌケすぎるミス」の後に、共同通信が守った“最後の一線”とは
お粗末すぎる誤報の顛末
『生稲 右翼扱いされていた』 独特すぎる見出しである。東スポは「永田町関係者」の声として、「保守派からは評価する声が出ている。外務政務官就任に批判のある生稲氏にとっては保守を打ち出していくのもいいかもしれません」という言葉を紹介。生稲氏にとっては「むしろチャンスかもしれない」と記事を結んでいた。ただ、気になったのはこの話題が出てから生稲氏は靖国参拝を否定していたことだ。 すると、東スポが「生稲右翼扱い」と書いた夜に事態は急転する。共同通信は「正しくは生稲氏は参拝しておらず誤った報道でした」と加盟社に訂正記事を配信したのだ。 なぜこんな誤報が起きたのか。訂正記事を読むと当時の取材過程について述べていた。「靖国神社への国会議員の出入りを取材する過程で生稲氏が境内に入るのを見たとの報告があったが、本人に直接の確認取材をしないまま記事化したと分かった」のだという。 もっとわかりやすく説明するとこうなる。 『 共同通信「生稲晃子が靖国参拝」誤報はライバル・時事通信社の記者がきっかけだった《内部資料入手》 』(週刊文春電子版11月29日)
マヌケで前代未聞の「取材過程」
週刊文春の記事によれば、「当日、手分けして靖国神社の取材にあたっていた時事通信社の記者が、生稲氏が参拝に来たとグループLINEで連絡。それをそのまま記事化してしまった」というのだ。 つまり共同通信の記者は目視を誤ったわけですらなく、LINEにきた他社記者の情報に反応してそのまま記事にしてしまったのだ。生稲氏本人に確認をすることもしなかった(皮肉なことに時事通信は生稲参拝を記事にしなかった)。 この問題が発覚したのは兵庫県知事選が終わって間もなくの頃だ。斎藤元彦氏の当選に沸く人々の間で「SNSの勝利であり、オールドメディアの敗北」と言われていたときである。共同通信の誤報でそれ見たことかという反応もSNSで見られた。たしかにマヌケで前代未聞の「取材過程」であった。信じられないミスである。