緊急輸送道路、354橋で落橋のおそれ 検査院「効率的な整備を」
緊急輸送道路にある橋について会計検査院が調べたところ、岩手県や浜松市など4県2市にある計354橋が、阪神淡路大震災級の地震で落橋する恐れがあることが分かった。検査院は効率的な整備を求めている。 【写真】落橋しないための工事が施された田崎大橋=鹿児島県、会計検査院提供 緊急輸送道路は、災害時に重要な拠点をつなぐ役割で、1995年の阪神淡路大震災級の地震が来ても1日程度で復旧する耐震性が求められている。耐震工事には、橋桁が落ちないようにする落橋防止工事と、被害を受けてもすぐに復旧できる機能回復工事の2段階がある。国土交通省によると、2022年度末で機能回復のレベルの耐震化率は81%。残り2割の整備が急がれている。 ■岩手県247橋、浜松市46橋 検査院は21~22年度にかけ、14国道事務所、30自治体が実施した橋の工事を調査。岩手県などの6自治体の計354橋は地震で落橋する恐れがあった。青森県が6、岩手県が247、長野県2、山口県48、横浜市5、浜松市46となる。 山口県では21~22年、萩市の佐々並大橋など11橋の機能回復工事をしたが、うち6橋は既に落橋防止工事が施されていた。一方で県内では下松市の平田橋など48橋で落橋防止工事が施されていない。検査院は「限られた予算の中で効率的な整備をしないといけない」と指摘。落橋した場合は復旧に長期間かかるとする。 国交省によると、同様の橋は全国に1200あるという。「優先して耐震補強するように求めているが、自治体の判断に任されている」としている。(座小田英史)
朝日新聞社