ソフトバンク柳田悠岐がOP戦3年ぶりの盗塁成功 元気な足、ガチで目指す「5」だけでなく…あらゆる面で高次元の可能性
◆オープン戦・ソフトバンク2―1西武(16日、ペイペイドーム) 【コラム好球筆打】 案の定、否定された。16日の西武戦後のことだ。帰路に就く柳田に「足、動いてるね」と一声かけてみた。その返しが「いやいや。全然っす」だった。恐らく、問いかけの意図を瞬時に判断しての返答だったのだろうが、その表情にはうっすらと笑みが広がっていた。それだけでも状態の良さが伝わって来た。 ■16日西武戦スタメン【表】 注目したのは4回の攻撃にあった。先頭の2番ウォーカーが先制本塁打を放った直後だ。3番柳田はこの日2安打目となる中前打で出塁すると、続く4番山川の打席で二盗を決めた。柳田にとっては今オープン戦初盗塁だ。これもなかなか珍しいと思って調べてみると、オープン戦での盗塁成功は2021年3月20日の広島戦(ペイペイドーム)以来だった。 フルカウントからのスタートだったため単独スチールを狙ったわけではなかったが、それでも余裕を持っての成功に映った。一ゴロに倒れた6回には全力疾走が奏功し、一度はセーフの判定も受けていた。西武側のリクエスト要求で判定がアウトに覆ったが、それほど際どいタイミングだったということは足が動いている証しだろう。小久保監督は「昨日(15日の西武戦)休ませたんで。年寄りは休ませた方が」と冗談交じりに振り返っていたが、こちらも柔和な笑みを浮かべていた。主砲の動きに不安なしといったところか。 思えば1月の自主トレで、柳田は今季目標に「3割、30本塁打」と言った後「5盗塁です」と続けていた。トリプルスリーを達成した15年に32盗塁の実績を持つ男にしてはあまりにも控えめな目標設定で、周囲はクスッとしたが「何、わろてんすか? 盗塁王は無理なので、143試合に出場して5盗塁。ガチで目指します」と〝ギータ節〟をさく裂させていた。その時点で、例年にないほどの状態の良さを感じ取っていたのではなかろうか。プロ野球の世界では、足が元気なうちは選手寿命も伸びやすいとよく言われる。柳田の3年ぶりとなるオープン戦盗塁成功には、打撃に守備にとあらゆる面で高次元の可能性を感じた。(石田泰隆)
西日本新聞社