スズキも16車種で法令外の燃費測定法「修正の必要はない」
自動車メーカーのスズキは18日、現在販売する16車種すべてで国の定めとは異なる方法で燃費データを測定していたと発表した。同日会見した鈴木修会長は、「定められた通りの測定方法を用いていなかったことについて、おわび申し上げたい」と陳謝したが、燃費性能を実態よりも良くみせかける意図や不正行為はなかった説明。データは誤差の範囲内だったとして「燃費表示に問題はない」と強調した。 【動画】スズキも法令外の方法で燃費測定 午後4時から記者会見
燃費をよく見せる意図は否定
現在販売する16車種について、燃費性能を測る際に使う「走行抵抗値」の測定状況をあらためて確認したところ、道路運送車両法で定める惰行法によるデータではなく、タイヤやブレーキ、トランスミッションなど装置ごとの転がり抵抗の実測値や、風洞試験装置での空気抵抗の実測値を積み上げた走行抵抗値を使用していた。 国の定めとは異なる手法による測定は2010年ごろから始まった。本田治副社長は、「タイヤなどの抵抗値の実測には装置が必要。それらの装置が導入された時期を調べたところ、2009年から2010年ごろには導入されていたことが分かった」と述べた。 同社が保有する相良(さがら)テストコース(静岡県牧之原市)は、海近くの丘の上にあり、風などの影響により測定データのばらつきが大きくなる傾向にあるという。例えば、低転がりタイヤを採用する場合、効果測定時にデータがばらつくため、何度も繰り返して測定する必要があった。同社は、このコースでの試験の難しさが背景にあると見ており、本田副社長は、「違法性はそこまで深刻に考えていなかったのではないか」と説明した。 同社は、惰行法による実測データを追加で取得して申請した値と比較した結果、すべての値は実測データの「測定誤差の範囲内」にあり、燃費値の修正の必要はないとした。国交省にも、燃費については疑念がないと報告したという。 鈴木会長は、「お客様にはご迷惑をおかけするということはないので、販売を続けさせていただく考え」として、現行車種は引き続き販売すると説明。経営責任を問う声にも、「経営責任の問題は、一般的に言ってまず改善に取り組むことが第一。それをやった上でどうするかということなので、現時点ではコメントを差し控えたい」とした。 (取材・文:具志堅浩二)