NPO「抱撲」が困窮支援事業でクラウドファンディング 「希望のまち」開設目指す
北九州市でホームレスや生活困窮者の支援などに取り組んでいる認定NPO法人「抱撲」が9月3日に東京都内で記者会見を開催。同市内にある暴力団事務所跡地を購入して進めている「希望のまちプロジェクト」に関して同日から建設資金への協力を求めるクラウドファンディングを開始することを公表した。目標金額は1億円で、期間は12月2日までの3カ月間。物価高騰などの影響で建設計画が危機に陥っている窮状を訴えた。 抱撲は1988年に活動を開始し、現在では子どもや刑務所出所者の支援などを含めた29の事業を手がけている。2019年秋には、かつて日本で唯一の特定危険指定暴力団「工藤会」の本部事務所があった跡地を購入。「怖いまち」と呼ばれた北九州を「希望のまち」に変えるための同プロジェクトを開始した(本誌20年2月21日号で既報)。人口減少や単身化、孤立・孤独など、現在の日本が抱えるさまざまな課題に対して「あるべき共生社会モデル」を提示すべく多彩な機能を持った複合型の社会福祉施設を建設。そこを拠点に「誰も取り残されないまち」をつくるというものだ。複合施設には仕切りのない、まちづくりのための大ホールのほか、個室仕様で定員50人の救護施設、「子ども・家族まるごと支援センター」、レストランなどを設ける予定だ。 これまで全国の多くの市民から支援を受け、土地代金も完済するなど着々と準備を進めてきたが、コロナ禍や急激な円安、物価高騰などの影響で建設にかかる費用が膨らみ、プロジェクトは目下危機に瀕している。当初計画では施設は4階建てで建設費用は10億円を見込んでいたのを3階建て(建設費用は13億円)に設計変更したが、今年5月に実施した入札は不成立に。これを受けて施設のさらなる設計変更を行なったが予算総額は15億円に膨らんだ。2億円の資金調達が必要となり、そのうち半分をクラウドファンディングで市民から調達する方針を採った。