リニア新幹線計画、いまどうなっているの?/9月から本格試験走行
長年研究が進められてきたリニア新幹線が、実用化に向けて歩みを進めています。JR東海は今年6月、営業車両のもととなるL0(エルゼロ)系を山梨県都留市で公開しました。9月から本格的な走行実験を始めるとのことです。 リニア中央新幹線は東京(品川)から大阪(新大阪)まで、山梨県や長野県、岐阜県を経由して1時間程度で結びます(東海道新幹線は2時間半)。2027年に東京と名古屋の間を先行開業させ、2045年に大阪までの全線を開通させる予定です。9兆円を超える建設費は全額JR東海が負担し、2014年にも着工します。
東京―名古屋で4つの中間駅
先行開業する東京―名古屋では、神奈川、山梨、長野、岐阜の4県に中間駅が設置されます。名古屋―大阪は三重、奈良の両県を経由する予定ですが、中間駅の候補地は決まっておらず、京都経由のルートに変更してほしいとの要望が京都の経済団体などから出ています。 JR東海が発表した中間駅の構想によると、予約制を前提とした全席指定の列車にするため、切符売り場も設けません。駅には待合室や売店もなく、ベンチやトイレ、エスカレーターなど最小限の設備のみにするとのことです。 リニアは、普通の鉄道とは違い、超電導電磁石によって浮上し、時速500kmで走ることのできるものです。1962年に研究が開始され、1977年に宮崎実験センターで実験を開始しました。実用化を目指した開発を行うために、1996年から山梨実験線で走行実験が開始されています。
環境対策など課題も
なぜリニア中央新幹線が必要とされているのでしょうか。1964年に開業した東海道新幹線は老朽化で改修が必要となっているほか、ダイヤはすでに過密状態であり、増発することが難しくなっているのです。またリニアは、大災害の際に東海道新幹線の代替交通手段としての役割も期待されています。 しかし、リニアには多くの課題もあります。騒音による環境への影響、電磁波による人体への影響、工事による環境破壊、電力使用量が大きくなるといった問題があります。また、長いトンネルが活断層を横切っています。JR東海は、安全性を強調し、環境対策も万全に行い、磁界の影響も国際水準を下回るとしています。