【この冬、佐渡へ旅したい】蔵サウナで心身を整え、特別なクラフトジンを
旅の醍醐味は、明るいうちから“ちょい飲み”が叶うこと。佐渡の旅で出あった、蔵を利用したサウナと越後薬草が手がけるジンを紹介 【写真】佐渡でちょい飲み
《DRINK & STAY》「HOSTEL perch (パーチ)」 蔵サウナで心身を整え、格別の一杯を
大正時代から続く旅館をリノベーションし、2018年にゲストハウスとして誕生した「HOSTEL Perch」。初夏から初秋にかけて観光のピークを迎える佐渡島において、“冬”に吸引力となるスポットを作りたいと考え抜いた末、辿り着いたのが敷地に隣接した明治期の蔵を利用したサウナだった。 昔ながらの旅館の引き戸を開けると、パチパチと薪が燃えるストーブの温かさに迎えられ、ラウンジを兼ねたノスタルジックなバー空間が広がる。2階にコワーキングスペースを備えていることもあり、ここは様々な人と情報が交差するスポットでもあるという。
サウナで一汗かく前に、まずは喉を潤したいとオーダーしたのは、生姜やシナモン、八角を佐渡名産の黒イチジクとともに漬け込んだ自家製シロップのソーダ割り。スパイシーなアクセントとイチジクの優しい風味が溶け合い、旅の疲れを優しく包み込むようだ。
一息ついたところで向かったのは、母屋に隣接した蔵サウナである。明治期の木造建築はまるで蔵そのものが呼吸しているかのよう。断熱性に優れた土壁はサウナにうってつけだとか。 扉を開けると1階の中央奥に煉瓦でフレーミングされた薪ストーブ、その天面にはサウナストーンが置かれ、本格的なフィンランド式のサウナが鎮座する。薪のサウナは火力があり、110℃まで室温を高められ、ロウリュで室内に水蒸気を満たせば一層の発汗作用が促される。 蔵の外には漁港で使われているダンベと呼ばれるプラスチック桶を利用した水風呂や、デッキチェア、さらに特製の蓬茶まで用意。自分のペースでゆっくりと「整う」うちに、冬の佐渡巡りで冷えた体が芯から温まる。
たっぷりと汗を搾り出したあとには、待ちかねた一献を傾けたい。 リカーラックを眺めると、モダンなデザインのホワイトリカーが目に止まる。聞けば新潟県上越市で約50年に及び薬草を使った酵素ドリンクを開発してきた越後薬草が手がけるジン「THE HERBALIST YASO GIN」だという。 蓬やドクダミ、スギナや海藻、果物など80種類の原材料を発酵、熟成させたものを、蒸留器を用いて清涼飲料水を作る過程で、副産物として生まれるアルコールにジュニパーを加えたものである。異次元のサウナでデトックスした体にジンの複雑な味わいと澄んだ香りがゆっくりと駆け巡る。 日本には、まだ知らなかったことが沢山ある……心の扉を開き思い切ってローカルへ向かえば、こんなにも地味豊かな美酒に出会えるのだ。 「HOSTEL perch (パーチ)」 住所:新潟県佐渡市河原田諏訪町4番地 問い合わせ:info@s-perch.com BY TAKAKO KABASAWA 樺澤貴子(かばさわ・たかこ) クリエイティブディレクター。女性誌や書籍の執筆・編集を中心に、企業のコンセプトワークや、日本の手仕事を礎とした商品企画なども手掛ける。5年前にミラノの朝市で見つけた白シャツを今も愛用(写真)。旅先で美しいデザインや、美味しいモノを発見することに情熱を注ぐ。