賛否あるバスのキャッシュレス化! これで路線廃止に歯止めがかかるのなら「現金派」が柔軟に対応すればよし!!
地方でもキャッシュレス決済が普及するかに注目
たとえばもっとも多くの路線で実験する宇都宮市の関東自動車(トヨタ系の元メーカーとは別会社)では、LRTの導入に先駆けて、それまでのプリペイドカードを一斉に交通系ICカードの「トトラ」に切り替えたおかげで、バスの利用者の約8割がこれで運賃を支払っているという。 一方のLRTでは、現金ではいちばん前の扉から降りるのに対し、カードでは全扉で降りられる。当初は現金が多く、列車が遅れがちだったが、現在はカード利用率が9割を超え、遅れもほとんどなくなった。便利なのでカードをもつ人が増えたようだ。 さらにトトラでは、記名式カードのうち70歳以上の高齢者には年間1万円、精神障がい者保健福祉手帳をもつ人には最大で年間1.2万円分の「福祉ポイント」を用意している。こうした取り組みがキャッシュレス化につながっているのだろう。 逆に現金しか使えなくて不便なシーンは僕も経験がある。ある地方のバスの終点で降りようとしたら小銭がなく、紙幣は1万円札だけ。運転士に事情を話すと「近くのお店で小銭に替えてきてください」といわれたのでコンビニエンスストアに走り、買い物をしてバスに戻り支払った。 「そのぐらいマケてあげればいいのに」と思う人がいるかもしれないが、それは無賃乗車をさせてくれというのと同じ。常習して捕まった人もいるわけで、小銭の残高を気にせずに乗れるキャッシュレスのほうが便利だと、あらためて思ったものだ。 ただ交通系ICカードでも残高不足だと同じことになるので、最近は国内でも導入が進むクレジットカードやデビットカードでのタッチ決済のほうがいいかもしれない。
森口将之