“闇バイト”コア19事件で47人逮捕 「トクリュウ対策元年」になった一連の強盗事件を振り返る
2024年は闇バイトとみられる強盗事件が相次ぎました。今年の漢字「金」の理由の1つにもなり、石破総理も所信表明演説で「いわゆる闇バイトによる強盗・詐欺の報道を見ない日はありません」と言及するなど、この問題が我々の日常に広がりつつある現状を浮き彫りにしました。 【地図】“闇バイト”コア19事件の発生場所 この一連の事件を振り返ると、犯罪に巻き込まれる若者の現状が見えてきました。
■19の“コア事件” -被害拡大の実態-
9月18日未明、さいたま市で起きた事件では、住宅に男らが押し入り、住人女性2人が粘着テープのようなもので拘束され、現金約10万円とクレジットカードなどが奪われました。この事件の10日後にも東京・練馬区の住宅に複数人が押し入って腕時計などを奪う事件もあり、個人宅での強盗が相次いだことから問題が全国に広がることとなりました。 一連の事件について、警視庁、埼玉県警、千葉県警、神奈川県警は合同捜査本部を設置しました。警察庁によると、合同捜査本部が重点的に捜査をしている「コア事件」は19件にのぼります。 横浜・青葉区の事件では被害にあった男性の命が奪われました。千葉・市川市の事件では被害者が車で連れ去られました。犯行場所は住宅や質店など様々で、時間帯も深夜、日中を問わず行われています。
■若者を中心に広がっている“闇バイト”
この19事件のうち17の事件で47人が逮捕されています。 20代が最も多く、未成年も5人逮捕されています。社会人だけでなく、大学生も含まれていて、背景には「高収入」「ホワイト案件」などといったキャッチコピーでSNS上に投稿された求人に、簡単に応募できる手軽さがあります。一方で、応募後に「逃げたら殺す」などと脅され、後に引けなくなり犯罪に加担してしまうケースも少なくありません。 逮捕者には実行役だけでなく、リクルート役、現金回収役、道具の準備役などの役割がありました。さらに、複数の事件に関わったとみられる人物もいます。 これまでに「闇バイト」に関連する強盗や住宅に侵入するなどの事件は全国で約30件確認されていて、逮捕者は70人近くにのぼるということです。一連の事件の指示役の逮捕にはいまだ至っていません。 警察庁の露木康浩長官は、強盗や特殊詐欺などを各地で繰り返す匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)対策を治安上の最重要課題と位置づけ、捜査を強力に推進するとしています。 「匿名・流動型犯罪グループにつきましては、今年をトクリュウ対策元年と位置づけ、 警察庁と全国の都道府県警察に組織横断的な司令塔を置きました」(年末の会見) また12月24日に初めて開催された、匿名・流動型犯罪グループ捜査を指示する警察幹部らを集めた会議では、組織犯罪対策の軸足を「これまでの暴力団から匿名・流動型犯罪グループ対策へとシフトするべき転換期」として「日本警察の総力を挙げて、早急に、匿名・流動型犯罪グループの中核的人物の摘発と違法なビジネスモデルの解体に取り組まなければなりません」と指示しました。 闇バイトは若者を中心に簡単に巻き込まれる一方で、内容や被害は“バイト”という言葉では表せないほどに深刻です。これ以上の被害はもちろん、「高収入」などという甘い言葉に騙されて犯罪に手を染める人が増えないようにするためにも、指示役の特定など一連の事件の解明が求められています。 【一連の強盗事件】 8月27日 さいたま・西区 強盗傷害・逮捕監禁 8月29日 千葉・船橋市 強盗予備 8月29日 千葉・八千代市 強盗予備 8月31日 神奈川・厚木市 強盗傷害 8月31日 さいたま・西区 強盗予備 9月3日 神奈川・鎌倉市 強盗傷害 9月18日 さいたま・西区 強盗傷害 9月26日 千葉・船橋市 強盗傷害 9月28日 東京・練馬区 強盗傷害 9月30日 東京・国分寺市 強盗傷害 10月1日 埼玉・所沢市 強盗傷害 10月9日 千葉・船橋市 強盗傷害 10月15日 横浜・青葉区 強盗殺人 10月16日 千葉・白井市 強盗傷害 10月17日 千葉・市川市 強盗傷害 10月30日 東京・三鷹市 強盗未遂 11月2日 東京・葛飾区 強盗傷害 11月3日 千葉・四街道市 強盗傷害 11月20日 東京・品川区 強盗未遂
テレビ朝日