子供の頃から母親が何でも決めていて…… 優柔不断な性格を直したい
優柔不断な人は、決めることに慣れていないだけの場合が多い。ですから、決める経験を積んで慣れていくことが大切です。 素早く決断するに慣れてくると、「ピンとくる」という感覚をつかめるようにもなります。この感覚がとても大事です。ピンとくる方を選んだら、大抵は後悔しません。同時に「ピンとこない」ものも分かるようになります。決断の数をこなしていくうちに、ピンとこないうちは動かない、ピンとこないものは選ばない、ということもできるようになるわけです。 もし自分自身ではなく、身近に優柔不断な人がいる場合、その人に「どうしたらいいと思う?」と聞かれたときは、答えを提示しないようにしてください。「どっちを選んでも大丈夫だから」と伝えた上で、「あなたが決めたほうがいいと思うよ」と決断を促してあげると、その人も少しずつ決めることができるようになるでしょう。 ●自分で決めないと、人に振り回されてしまうの 優柔不断になってしまう原因は、いくつか考えられます。英二さんの母親のように、周囲に支配的な人がいると、自分で決めない方が環境に適応できるため、自分で決断しなくなります。そうすると、自分の気持ちが自分でも分からなくなってしまうのです。 自分の意見を伝えて相手に拒否されたら傷つきます。「自分はこっちがよかったのに……」と執着が残ってしまうのも嫌ですよね。だったら、自分がそれをやりたいのかどうか、好きなのかどうか、分からない方がいいと思ってしまうのです。 自分がやりたいことや好きなことが分からないと決断もできません。何が食べたいかと問われても難しいと感じる人は、まずは魚か肉か、というように選択肢を作って、どちらかといえば魚、というように選ぶことから始めるといいでしょう。 また、優柔不断に多いのが、失敗を極度に恐れる人です。何かを決めると「失敗したらどうしよう」「うまくいかなかったらどうしよう」と思ってしまう。Aを選ぶということはBを選ばないということなので、それが怖い。 そういう不安が強い人は、決断が苦手な傾向にあります。もちろん自信がないから不安になることもあるでしょう。でも、恐らくそういう人は「自分で決めたのだから、それでいい」と思う感覚がつかめていないのだと思います。 「決めたらもう戻れないので怖い」と思っている間に、時間は過ぎていきます。先延ばしにすることは、「決めない」という選択をしているのと同じです。その方がよほど怖いと思います。 そもそもの話ですが、やはり物事を決められないというのは、あまりいいことではありません。優柔不断であるがゆえに、いろいろな問題が起こるからです。 まず、自分で決断をしていない人は、すぐに人のせいにします。決断していないのに、うまくいかなかったことを後悔し、不満を感じ、それが他人への攻撃になる場合もあります。 また、人に依存していると、人の思惑に巻き込まれます。自分で決め、自分の選択に責任を持つことは、結局のところ、自分自身を守ることにつながります。 何より毎日は小さな決断の連続ですから、人に依存していると自分の人生を生きている感覚がなくなってしまう。それは幸せな人生とは言えないと思います。 自分の意志で決め、自分の人生を歩んでいく。そうした決断力は人としてすごく魅力的な要素だと私は思います。 取材・文=尾越まり恵
Tomy