農林中金の巨額損、金融庁からの指摘生かせず-遅きに失した転換
農林中金の総資産は約100兆円で、その半分を有価証券で運用する。貸出金の比率は20%以下だ。一方、国内最大の銀行グループである三菱UFJフィナンシャル・グループの総資産は約400兆円。有価証券ポートフォリオは約20%にとどまり、貸出金の比率は約30%となっている。
農協は長い間、農林中金から「奨励金」と呼ばれる上乗せ金利を受け取ってきた。日本国債はリターンが少なく、貸し出しも低調だったため、農林中金は1990年代にリターンを得るために海外に進出。投資部門はニューヨーク、ロンドン、シンガポール、香港、北京、シドニー、アムステルダムに拠点を置き、グローバルなネットワークを構築した。
09年に証券化商品から大幅な損失を被った後、農林中金は米国債やその他の外債に目を向けた。しかし、ドルを借りて投資資金を調達したため、外貨調達コストが投資利回りを上回り、この戦略は維持できなくなった。
農林中金は10兆円規模の外債を今期中に売却し、国内外の株式やプロジェクトファイナンスなど幅広い資産への投資を検討する。外債に偏ったポートフォリオの再構成に乗り出す。
21日の総代会で奥理事長は再任された。出席した関係者によると、1兆2000億円の資本増強計画や同氏の続投について異論は出なかったという。4月から報酬の3割削減を決めた奥氏は「職務を全うするのが責任の取り方」と語った。
原題:Norinchukin’s Second Investing Debacle Followed Clear Warning(抜粋)
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--取材協力:Ambereen Choudhury、Serena Ng.
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Taiga Uranaka, Takashi Nakamichi, Nao Sano