惜しくも叡王失冠となった藤井聡太。激闘の6月の対局を振り返る
フルセットの激闘となった叡王戦五番勝負は伊藤匠七段の粘り強い指し回しに逆転負け。八冠の一角が崩された。棋聖戦五番勝負は2連勝として永世棋聖まであと1勝としている。 ※対局予定棋士の名前の後の()内は藤井から見た過去の対戦成績。 【写真を見る】棋聖戦防衛に臨む藤井聡太 6月6日にヒューリック杯第95期棋聖戦五番勝負第1局で山崎隆之八段と対戦。相掛かりから山崎独特の力強い指し回しに対し、藤井はしっかりと玉を固めて、後手番ながら積極的に戦いを起こしてペースをつかむ。終盤に入っても的確な指し手を重ねて快勝。永世棋聖に向けて好スタートを切った。 6月17日に棋聖戦第2局で山崎八段と対戦。山崎の作戦は意表の向かい飛車。急戦含みの構えだったが、じっくりとした展開になる。囲ってからは積極的に動いてペースをつかみ、終盤は鋭い踏み込みで押し切った。これで2連勝として防衛まであと1勝。第3局は7月1日に行われる。 6月20日に第9期叡王戦五番勝負第5局で伊藤匠七段と対戦。2勝2敗で迎えた最終局だ。振り駒の結果先手となったのは藤井で、角換わりから伊藤は右玉、藤井は穴熊に組む持久戦となった。堅陣を生かした猛攻で押し切るかに思われたが、伊藤の粘り強い指し回しの前に攻守逆転。最後はわずかに寄せが届かず、痛恨の逆転負けで叡王失冠となった。タイトル戦の連勝記録も22でストップ。来期は本戦トーナメントからの登場となる。 伊藤園お~いお茶杯第65期王位戦七番勝負の挑戦者は渡辺明九段(20勝4敗)に決定。第1局は7月6、7日に行われる。永世王位が懸かる防衛戦だ。 第32期銀河戦本戦で藤井はHブロック最終戦に登場する。手前には近藤誠也七段、三浦弘行九段らが控えている。放映は秋の予定で、勝てば決勝トーナメント進出。 第74回NHK杯将棋トーナメント本戦で、藤井は2回戦で西山朋佳女流三冠(初手合)と対戦する。 第45回将棋日本シリーズJTプロ公式戦のトーナメント表が発表。前回優勝の藤井は9月21日に行われる二回戦で羽生善治九段─佐々木大地七段戦の勝者と対局する。 ABEMAトーナメント2024で藤井はリーダーとして出場。チームメイトには羽生善治九段と青嶋未来六段を指名。予選はCリーグに入り、チーム天彦(佐藤天彦九段、斎藤明日斗五段、山本博志五段)、チーム豊島(豊島将之九段、糸谷哲郎八段、大石直嗣七段)と対戦する。予選第一試合はチーム豊島に5勝3敗で勝利。 6月22日に放映された予選第二試合でチーム天彦と対戦。藤井は個人として1勝1敗だったが、チームは5勝2敗で勝利。2連勝で1位での予選通過を決めた。 文=渡部壮大
HOMINIS