ウクライナ軍の新編機械化旅団、装備は60年前の車両か ロシアを笑えぬ窮状
全体的に見ればロシア軍が装備面でもなお上回っているのが実情
第154機械化旅団が実際にT-62を運用しているのだとしたら、それもまたウクライナ陸軍にとって懸念される兆候ということになる。既存部隊は主に、比較的現代的なT-64やT-72、あるいはこれらよりははるかに数は少ないが、西側諸国から供与されたチャレンジャー2、M1エイブラムス、レオパルト2といった戦車を運用している。 ロシア軍はウクライナの戦場で失ってきた数千両の戦車を補うために、国内の長期保管施設から古びたT-62を引っ張り出している。これは当然のことながら嘲笑された。だが、ウクライナ軍が老朽化したT-62で戦闘を行うというのも同じくらいきまりの悪いことだ。 問題を悪化させているのは、支援諸国からウクライナへの装甲車両の供与ペースが、ウクライナ軍による2023年夏の反転攻勢前をピークに大幅に鈍化していることだ。ウクライナ軍のオレクサンドル・シルスキー総司令官によると、新たな旅団が多くの現代的な車両がないまま編成されているのはこれが主な理由のひとつだという。 「引き渡される予定の兵器や装備が届けば、われわれは編成済みあるいは編成中の新たな旅団をできるだけ早く配備できます」とシルスキーはCNNのインタビューで語っている。「これはもちろん、われわれの全体的な能力水準に影響を与えるでしょう」 補足しておけば、新たに編成した部隊に十分な数の現代的な車両を調達するのに苦労しているのはロシア側も同じだ。ロシア軍が最近、オートバイやバギー(俗称「ゴルフカート」)などの民生車両の配備を増やしているのは理由のないことではない。 とはいえ、オートバイやバギーを使ってはいても、全体的に見ればロシア軍のほうがなお装備が整っており、数的にも優位にある。シルスキーは、ウクライナ軍は「ハイテク兵器に重点を置く」ことでロシア軍の数的優位を減殺できるとの考えを示している。 しかし、ウクライナ軍の最新旅団の主力車両らしい60年もののBMP-1は、どう見てもハイテク兵器ではない。
David Axe