日経平均株価が再度4万1000円に到達する可能性は十分だ
■中国経済減速と平成バブル崩壊はどこが異なるのか 製造業の内訳ではコンピュータ・通信・その他電子機器といったIT関連財が同プラス12.5%と高い伸びを維持しているほか、EV市場の拡大もあって自動車が同プラス5.8%とプラス圏にある。この指標を見る限り、不動産市場の悪化がその他の生産活動を蝕んでいる様子はない。もちろん、こうした粘り強い投資活動は、資本財を中心に日本企業の中国向け売上高に貢献する。 中国経済を巡っては、1990年代前半における日本のように、人口減少という不可逆的な逆風の下で、不動産市場の悪化を起点とする不況に突入するとの懸念がある。しかしながら、現在の中国経済は良くも悪くも緩やかな減速にとどまっており、製造業PMIをみても50超で安定している。
1990年代前半の日本では、日銀短観の業況判断DIが、坂道を転げ落ちるような速度で低下するなど、急速な景気減速に直面していたが、現在の中国経済はそうした悲劇的な状況にはない。これらに鑑みると、日経平均が4万1000円を突破するとの予想に大きな下振れリスクはないと思われる。 (当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)
藤代 宏一 :第一生命経済研究所 主席エコノミスト