新人教師と問題児の対峙を描く、風間俊介らの舞台「モンスター」大阪でスタート
風間俊介が主演を務める舞台「モンスター」が本日11月30日に大阪・松下IMPホールにて開幕した。 【画像】舞台「モンスター」より。(撮影:河上良)(他8件) 「モンスター」は、「エブリ・ブリリアント・シング」「LUNGS」などで知られるイギリスの劇作家ダンカン・マクミランが、2005年に執筆した初期作品。劇中では、家族から十分な愛情を受けられず、問題児として扱われる14歳の生徒ダリルと、かつての華やかな職場から逃れ、深い問題を抱える新人教師トムの対峙を軸に、現代の教育・家族問題を描く四人芝居が展開する。 開幕に際し、演出・美術を手がける杉原邦生は「驚くべきことに、ダンカン・マクミランによる『モンスター』という作品をはじめて読んだときの印象と、約1ヶ月の稽古を経たいま見えているものの印象とがまったく異なっています。その大きな要因は、風間俊介さん、松岡広大さん、笠松はるさん、那須佐代子さんという優れた俳優の皆さん、翻訳の髙田曜子さん、音楽の原口沙輔さん、そして、強力なスタッフたちと共に稽古場で意見を交わし合い、試行錯誤を重ねた先に、この作品の〈あたたかさ〉を見つけることができたからだと思っています。この作品をお客様がどのように受け取ってくださるのか、これまで抱いたことのない不思議な期待感があります。どうか劇場で体感してください。ご来場お待ちしております!」とコメント。 トム役の風間は「僕が演じるトムは、社会の象徴だと感じています。観てくださる皆様がトムを通じて、この問題と対峙して頂けたら、これからの未来は変わるのではないか? そんな力を感じます。大阪公演が私たちにとっての初日となります。大阪の皆さんからエネルギーを頂き、これからこの作品を多くの人に届けたいと思います」と意気込みを述べる。 ダリル役の松岡広大は「普通の教育、家庭、食事、など『普通』という言葉が多く出てくる作品です。その言葉を使ってあたかも自分だけは異常じゃないと主張する大人の登場人物は、一筋縄じゃいかない人間を表しています。普通を振りかざして自分は普通だと言い切ることはある種の暴力なのではないか、無意識で線引きを容易く行うのは残酷なことなんじゃないかと、様々な思考ができる作品は魅力的だと思います。物語を通して、自分や周りを知って見つめてもらえたら幸いです」と思いを語った。 なお風間、松岡のコメント全文とジョディ役の笠松はる、ダリルの祖母リタ役の那須佐代子のコメントは以下の通り。 大阪公演は明日12月1日まで。公演はその後、7・8日に茨城・水戸芸術館ACM劇場、14日に福岡・福岡市立南市民センター 文化ホール、18日から28日まで東京・新国立劇場 小劇場にて行われる。 ■ 風間俊介 コメント 稽古を重ねていく毎に、素晴らしい作品だと実感しています。2005年に書かれた戯曲ですが、その時代に芽吹いた問題が今の社会で表面化している。今、私たちが考えたい、向き合いたい課題に真っ向から挑んでる作品だと感じています。依然として、膨大なセリフ、幾重にも織り込まれたメッセージにのたうち回っていますが、答えが見つかるような問題を題材にしている舞台ではない以上、この時間自体が希望になる事を信じてのたうち回っています。 僕が演じるトムは、社会の象徴だと感じています。観てくださる皆様がトムを通じて、この問題と対峙して頂けたら、これからの未来は変わるのではないか? そんな力を感じます。大阪公演が私たちにとっての初日となります。大阪の皆さんからエネルギーを頂き、これからこの作品を多くの人に届けたいと思います。 ■ 松岡広大 コメント ダンカン・マクミランさんが書く戯曲の特徴を掴むのはとても大変で、今でもわかったとは言い切れませんが、大きな挑戦の機会を頂けていることに感謝しています。初日が開いてからも高みを目指していきたいので、手応えはきっと最後まで感じられないと思います。慢心せず臨みたいです。 普通の教育、家庭、食事、など『普通』という言葉が多く出てくる作品です。その言葉を使ってあたかも自分だけは異常じゃないと主張する大人の登場人物は、一筋縄じゃいかない人間を表しています。普通を振りかざして自分は普通だと言い切ることはある種の暴力なのではないか、無意識で線引きを容易く行うのは残酷なことなんじゃないかと、様々な思考ができる作品は魅力的だと思います。物語を通して、自分や周りを知って見つめてもらえたら幸いです。 宜しくお願いいたします。 ■ 笠松はる コメント いよいよ開幕。今はワクワクヒリヒリと痛痒い感覚です。地元大阪での開幕も大変嬉しいです。 初めてこの台本を読んだ時に見えた景色から、稽古中どんどん作品の読み方が変わっていきました。特に、稽古中盤に演出の杉原邦生さんが仰った今演出の方向性を示す言葉は、現代に生きる私自身の心にも沁み渡るようでした。以降ずっとその方向性を心に、ジョディとしての在り方を模索してきました。 「モンスター」は言葉がはっきりと明示されていない分、演じるカンパニーの数だけ作品のメッセージがあるような不思議な戯曲です。そして、私はこのカンパニーで「モンスター」に参加できた事を誇りに思います。 開幕までも、開幕してからも、また作品は変化していくと思います。 それは私たちが、生きる事や人と関わる意味を日々探すような、そんな気持ちに似ているかもしれません。 日本初演です。ぜひ劇場でその日だけの「モンスター」をご体感ください。 ■ 那須佐代子 コメント 稽古期間を振り返ると、濃密でシリアスなシーンの多い作品なのに稽古場の空気感が常に明るく健やかだった事が印象深いです。それは演出の杉原さんの俳優の意見を受け入れ共に考察しながら創作する姿勢と、共演の皆さんの素敵なお人柄によるところだと感じています。 私が演じるリタという役は、一見クレイマーのような面倒な性格の人物に思えますが、彼女の抱えている状況が切迫しているからこその言動だと思っており、その状況が徐々に明らかになっていく様子を丁寧に演じられたらいいなと考えています。 「モンスター」の魅力のひとつ、スピード感のある展開を、原口さんの音楽の力もお借りして見事に表現した舞台になっていると思います。多くの皆様のご来場を心よりお待ちしています! ■ モンスター 2024年11月30日(土)・2024年12月1日(日) 大阪府 松下IMPホール 2024年12月7日(土)・2024年12月8日(日) 茨城県 水戸芸術館 ACM劇場 2024年12月14日(土) 福岡県 福岡市立南市民センター 文化ホール 2024年12月18日(水)~2024年12月28日(土) 東京都 新国立劇場 小劇場 □ スタッフ 作:ダンカン・マクミラン 翻訳:高田曜子 演出・美術:杉原邦生 音楽:原口沙輔 □ 出演 風間俊介 / 松岡広大 / 笠松はる / 那須佐代子 ※高田曜子の「高」ははしご高が正式表記。