フォーラム開会のあいさつをする台湾の呂秀蓮元副総統

東アジアの平和と安定を日本と韓国、台湾の民間主導で考える「2024東アジア平和フォーラム」が9月29日、都内のホテルで開催され、日・台・韓を軸とするアジア版「北大西洋条約機構」（NATO）を提唱する台湾の呂秀蓮元副総統も来日し、「ハイテク技術発展をはじめ、地理、歴史、人文などの要素を背景に日本、韓国、台湾が相互に扶助、協力し、ウイン・ウイン・ウインの関係をもとに平和を守ることが大切だ」などと呼びかけた。 【全画像をみる】日韓台軸に考える「東アジア平和フォーラム」都内で開催。台湾・呂元副総統「ハイテク技術協力」など提唱 同フォーラムは2018年に3月に台北で初開催。同年11月にソウルで第2回フォーラム、2019年8月に台北で第3回フォーラムを開催し、コロナ禍による中断を経て今回初めて日本で開催された。 会場には日本、台湾、韓国から民間団体を中心に百数十名が出席。呂氏の開会宣言に続き、台北駐日経済代表処の新たな代表（駐日大使に相当）に着任した李逸洋氏が来賓として「関係国が民主主義を軸に団結し、この地域の平和を守ってゆくことの重要度は増している」などとあいさつした。 また基調講演の講師を務めた韓国の李柱栄・元国会副議長は、「北朝鮮は韓国と世界に向け、南北の終戦宣言、停戦協定の破棄、平和協定の締結、在韓米軍の撤退、米韓合同軍事訓練の中断を求めているがこれは偽装平和攻勢。背後では核・ミサイル開発に全力を注いできた」と地域の緊張を分析し、「フォーラムを通じた世論の広がりにより、世界の人々には北朝鮮の実情を正確に把握するよう努めてほしい」と訴えた。 さらに台湾の翁明賢淡江大学名誉教授も、海洋進出姿勢を強化する中国の「現状打破」姿勢に対し、民主主義の日本、韓国、台湾がフィリピンなどとの連携も念頭にして、アジア版NATOを構築し、産業など多分野で連携することの重要性を強調した。 第4回フォーラム出席のために来日した呂氏は、台湾で2000年から2008年まで、民主進歩党・陳水扁政権の副総統を務めた。フォーラム開催に先立つ28日には、都内ホテルで日本メディアとの朝食会にも臨み、「日本の有力民間団体や、議員らと会談し、台湾、日本、韓国の連携、団結の重要性を説いて、具体的なムーブメントを起こしていきたい」と主な来日の目的を説明した。 「世界情勢は不安定だが台湾海峡を次の火薬庫にしてはいけない。私たちはみな平和を望んでいる」「台湾、日本、韓国が民主主義という共通の価値観に立脚して連携、団結する、NATOのような『民主アジア連盟』を結成し、ウイン・ウイン・ウインの関係を民間主体で構築し、平和と安定がもたらす利益を享受できるようにしたい」と理念を語っていた。 今回のフォーラム直前に自由民主党の新総裁に選ばれた石破茂元幹事長については、「外国人の立場なので総裁選結果に対する論評は控える」としながらも、「私は立法委員時代に彼と初めて知り合った」などこれまでの交流と振り返り、石破氏が総裁選直前の8月、超党派議員グループ「日本の安全保障を考える議員の会」訪問団を率いて台湾を訪れ、総統府で頼清徳総統と会談したことをあげ、「彼が台湾に注視していることがうかがえる」と日台関係進展に期待感をにじませた。 また 石破氏も「アジア版NATO」構想を掲げている点につては、「私の提唱とどの程度重なるのかまだ不明だが、日本単独の提唱よりは、韓国、台湾とも連携して進めるほうが、より良い形になるのではないか」と、石破氏の構想に対して持論を提案していた。