レシピを打ち込むだけで料理が出てくる!? 「人手いらず」なロボットの進化がスゴすぎる
飲食業界は働き手の確保が深刻な課題となっている。コロナ禍で職場を離れた従業員たちがいまだに戻ってこないためだ。東京ビッグサイトで6月4日から7日まで開催された食品製造業界の総合展「FOOMA JAPAN 2024」には、そんな人手不足という課題を解決するかもしれないAIやロボットの新技術が多数展示されていた。 【写真をみる】鍋が勝手に動いて…あっという間に“エビ野菜炒め”が完成! 盛り付けまでイイ感じにやってくれる「完全自動化調理器」
ロボットが“食肉加工”までやってくれる時代に
目を引くかわいらしいフォルムの人型ロボットは、料理の載ったトレイを見分けて正しい位置に置くことができる「ネクステージ・フィリー」(THK社)。置かれたトレイがズレていても検知して確実につかむことができるという。製造工場だけでなく、ファミレスでの配膳の現場でも活躍しそうだ。 食肉加工処理場向けに解体を補助し、省人化を図る「腹胸割りロボット」を展示していたのは花木工業。熟練の技術が必要なうえハードな肉体労働になるため1日数時間しか作業時間が取れない仕事を、AI制御により自動で行うという。
レシピを打ち込むだけで料理が出てくる!?
ヘスティア・ロボティクス社が開発した完全自動化調理器は、レシピをマシンに打ち込むだけで、全自動で1人前ずつ調理して皿に盛り、鍋の洗浄まで行ってくれるという。炊飯器の内釜のような形をした鍋からエビ野菜炒めが皿に移される様子が公開された。すでに導入された中華料理店では30種類以上の料理をこのマシンが提供している。 米飯にかかわる食品加工機械を開発している鈴茂器工が展示していたのは「いなり寿司ロボット」。アゲにシャリを詰め、仕上がりの形成まで、通常は3人以上で行うほど手間がかかる作業を1人でできる省人化を実現した。 優秀な機械たちによるデモンストレーションは鮮やか過ぎて、逆に製造工場や飲食店での働き口がなくなってしまうのではないかと心配になるほど。とはいえ、事前の食材準備から機械へのセット、完成した料理の回収、機械の洗浄といった作業は、すべてマンパワー。機械を補助する人たちは大忙しだったので、そういった需要は増えるのかもしれない。
撮影・本田武士 「週刊新潮」2024年6月20日号 掲載
新潮社