2024年度、「増収増益」を見込む企業は26.3%
新型コロナウイルスの感染拡大によるパンデミックの発生から4年が経過した。2023年5月に新型コロナ感染症が感染症法上の5類に移行し、ポストコロナ時代に対応するための動きが加速している。 国内景気は、生産活動が本格化した自動車、電機などの製造業をはじめ、好調な観光産業やインバウンド消費の拡大などもあり、3カ月ぶりに上向いた。また、今後の景気に関しては、2024年3月に日本銀行がマイナス金利を解除して金融政策の正常化がスタートし、金利引き上げの時期や規模などが注目されるなかで、賃上げ効果により個人消費を中心に緩やかに持ち直していくと見込まれている。一方で、人手不足や2024年問題への対応、為替レートや海外経済の動向などは懸念材料となり得よう。 そこで、帝国データバンクは、2024年度の業績見通しに関する企業の意識について調査を実施した。
2024年度の業績見通し、上向き傾向が続くも、勢いはやや鈍化
2024年度(2024年4月決算~2025年3月決算)の業績見通し(売上高および経常利益)について、「増収増益」を見込んでいる企業は26.3%となり、2年ぶりに増加した前年(26.4%)とほぼ同水準だった。他方、「減収減益」は同0.7ポイント上昇の21.0%と4年ぶりに増加した。
業績の上振れ材料、「個人消費の回復」が2年連続トップ、「感染症の収束」は13位に後退
2024年度の業績見通しを上振れさせる材料に関しては、「個人消費の回復」が37.3%と2年連続でトップとなった(複数回答)。以下、「所得の増加」(24.1%)、「原油・素材価格の動向」(20.1%)、「人手不足の緩和」(19.0%)が続いた。2021年度・2022年度見通しで1位、2023年度見通しで2位だった新型コロナなどの「感染症の収束」は18.5ポイント減少の9.5%で13位に後退した。 その他、物価高が続くなか「緩やかな物価上昇(インフレ)」(14.4%)は前回調査より割合が高まり6位、6月に予定されている「減税」(12.0%)は9位にあげられた。一方で、円安水準が続いている「為替動向」(14.0%)は7位、マイナス金利政策が解除されたなか、「金融緩和の継続」(6.5%)は16位となった。