【卓球】T女子プレーオフ、日本生命が優勝。トップのダブルスが勝敗を分け、早田が見せた力技
「結果的に3-0で優勝を果たせましたが、0-3で負けていてもおかしくない。実力が拮抗している中で勝ち切れたのは団体戦ならではのレッドエルフの強さ」と早田
昨日、Tリーグ女子ファイナルは東京の代々木第二体育館を満員にした。 日本生命レッドエルフと木下アビエル神奈川、両チームの応援も熱かったが、さらにヒートアップさせたのは選手たちの世界レベルの卓球だった。この両チームにはパリ五輪代表が3人(早田・平野・張本)いることで、観客はハイレベルなラリーを見ることができた。 しかし、ファイナルの勝敗を分けたのは五輪代表の試合ではなく、トップのダブルスだった。木下は全日本チャンピオンペアの木原美悠/長崎美柚を起用し、日本生命は笹尾明日香/麻生麗名だった。「木下ペア(木原/長崎)はシーズンで笹尾/麻生に負けているからダブルスは木原/張本でくると思った。トップのダブルスは非常に重要」と試合後の日本生命の村上恭和総監督。 しかし、木下はチャンピオンペアを正面からぶつけた。3ゲームスマッチで、3ゲーム目は6-6からスタートするTリーグの試合方式は実力以上に、一瞬の勢いで勝負が決まる。挑戦者としての日本生命ペアがまさに勢いで勝利をもぎ取り、完全にチームを勝利の流れに乗せた。 シーズン首位の木下のアドバンテージは、オーダーが開示される3番と4番に自チームの選手をぶつけられること。そこで木下の中澤鋭監督は、3番の早田に直前のWTTシンガポールスマッシュで勝っていた平野をぶつけ、開示していないが2番のソン・メイヨウを予想し、張本美和をぶつけた。ダブルスと言い、この2、3、4番の木下のオーダーには村上監督も驚いた。なぜならば、張本はシーズンでソンには2敗(ビクトリーマッチでの1敗を含む)していたのだ。 また直近のWTTスマッシュの試合で平野が勝っていたとはいえ、早田と平野の対戦成績は2年近い選考レースの中でも早田の3勝1敗という対戦成績がある。平野と張本の最近の好調な試合ぶりが中澤監督の采配に影響を与えたのだろう。 会見では中澤監督は「オーダーを強気でいき過ぎたかもしれない」と反省しつつも、会見場を後にしながら、「来年は優勝してここにまた来ます」という言葉を残した。 村上監督は優勝を決めた早田を「戦う時の心の持ち方が成長した。チャレンジャーとして出るという気持ちの持ち方が特別なものがある」と評した。 その早田は会見でも自信にあふれていた。「結果的に3-0で優勝を果たせましたが、0-3で負けていてもおかしくない。実力が拮抗している中で勝ち切れたのは団体戦ならではのレッドエルフの強さだと思う。シンガポールで平野選手に負けていたのでリベンジする機会を得たと思ったけど、勝ち負けを忘れて試合に集中しようと思いました。今日の自分の試合は2-2に追いつかれてもおかしくなかった。私がフッと力が抜けた時にチームメイトの応援が聞こえてきて、私ひとりで戦っているのではない。自分のためと言うよりもチームのため、他の人のために戦えた」。 早田というスーパースターがいても日本生命レッドエルフというチームの中では、早田は特別な存在ではない。早田の強さと明るさを吸収するほどに、日本生命チームは明るく、元気あふれるチームなのだ。大阪からも駆けつけた大勢の応援団に手を振る選手たちと、喜びの涙を流す応援団。Tリーグの今シーズンを締めくくるにふさわしい優勝だった。 ・・・・・・・・・・・・・・・・ <Tリーグ女子セミファイナル> 日本生命レッドエルフ3-1日本ペイントマレッツ ソン・メイヨウ/ソン・イジュン10、12佐藤瞳/橋本帆乃香◯ ◯赤江夏星 11、9、-6、-10、9 橋本帆乃香 ◯早田ひな -7、6、3、8 横井咲桜 ◯ハン・シキ 8、6、11 大藤沙月 ◯早田ひな 9 横井咲桜 *観客数1680人 ・・・・・・・・・・・・・・・・ <Tリーグ女子ファイナル> 日本生命レッドエルフ3-0木下アビエル神奈川 ◯笹尾/麻生 -5、12、8 木原/長崎 ◯ソン・メイヨウ 7、9、-7、7張本美和 ◯早田ひな 8、11、-3、6 平野美宇 ハン・シキ ーー チャン・ルイ *観客数2624人 ・・・・・・・・・・・・・・・・
卓球王国 今野昇