国内外で評価される三池崇史監督 ── 映画製作への思い
国内のみならず世界中にファンを持つ三池崇史監督が指揮を執った映画『神さまの言うとおり』が15日から全国公開される。本作は暴力的なシーンもある中、『血しぶき』をビー玉で表現するなど、三池監督の独創的な世界観が鮮やかに表現されている。今年10月に行われた第9回ローマ国際映画祭では、独創性豊かな作品を数多く輩出している映画監督に贈られる特別賞「マーベリック賞」を日本人で初めて受賞。名実共に“三池ワールド”が評価される形となっているが、その三池監督が考える映画製作とは何か。その世界観、考え方を聞いた。
断ったオファーはなし ジャンルにこだわりは必要ない
今年、公開された三池監督の作品は、『土竜の唄 潜入捜査官REIJI』(2月15日公開)、『喰女-クイメ-』(8月23日公開)、そして今回の『神さまの言うとおり』(11月15日公開)で3作目となる。毎年、2~3本の作品を世に送り出すほどの多忙なフィルムメーカーであり、そのジャンルはさまざま。今回公開の『神さまの言うとおり』はR15指定だが、過去には『妖怪大戦争』(2005年)、『忍たま乱太郎』(2011年)など、小中学生向けの映画までメガホンをとっている。 あまりにも偏らない映画製作を続けているが、その理由について「オファーを受けて、(内容で判断して)断った作品はない。断るとしたらスケジュールの都合が合わないくらい。監督は作品に選ばれるというか、導かれる。原作者に会うと、(いい映画にして)その人を喜ばせたいとも思う。こうなりたいという監督像を持っていたなら、こだわりもあるかもしれないが、僕は違う。(内容に)こだわる必要はないと思っている」と持論を展開する。 今回の作品は少年誌に連載するマンガの実写化。原作のターゲットは中高生になるが、映画はR15指定のため、中学生の鑑賞はできない。しかし、「中学生が楽しんでくれる作品だろうなと思ったけど、そういうもの。成人向けのビデオを子どもが見たがるけど、見せてもらえないのと同じで、見たいけれど見られない、というものでしょう(笑)。彼らが15歳以上になったときに見てくれればいいし、そもそも基準はあったほうがいい。それを“規制”と捉えると、やりにくくなる」と、三池監督の表現に影響は及ぼさないと考えている。