人気恋愛ドラマの名手ユ・ボラが社会問題をエンタメに描くということ
――ボラさんの多くの作品は、社会的に弱い立場に置かれている人を不憫な存在として扱うのではなく、同じ目線で寄り添うような優しさがあります。
ボラ:一般的な社会の視線は、社会的に弱い立場に置かれていたり、苦しい状況におかれている人を上から判断しているように感じます。もちろん当事者は苦しいと思いますが、その人たちなりの価値観があり、希望や大切なものを持っていたり、探しているはずです。脚本を描いている時は、その人の目線で物事を考えながらキャラクターを構築しています。
――社会問題をドラマとして、エンターテインメントとして描く方法について教えてください。
ボラ:現実の社会問題を反映するとき、リアリティーが強すぎるとドラマがドキュメンタリーのようになってしまいます。ドラマは俳優たちが担う部分も多いので、彼らの魅力を引き出す演出や劇作品としてのおもしろみを入れながら、多くの人たちが共感できることを意識しています。現実社会は暗くて苦しい側面もあるので、ドラマでは希望が持てるような展開をつくることを心がける部分もあります。
――キャラクターを作る上で衣装はどのように決めていますか?
ボラ:現実の人を描くときは職業に合う衣装を着せる必要があります。脚本家は登場人物の衣装のガイドラインを作ることに徹します。それを発展させるのは俳優の力です。その人物を解釈し、表現方法を模索し、演じるのは彼らですから。多くの俳優は積極的に監督と意見交換をして、役作りや演技、表現を真剣に考えています。
最近話題になったドラマの衣装に、師弟関係のラブロマンスを描いた「卒業」があります。私の作品ではありませんが、主人公の教師の衣装はとてもリアリティーがあって、その人の生き方までを表現していると大変話題になりました。
――現在韓国では、どのような恋愛ドラマが求められていると思いますか?
ボラ:現在は、多くの恋愛が出会いも別れも簡単になっているように感じるため、今こそとても切実な物語を書きたいですね。お互いに困難を乗り越え、運命でこの人しかいないという状況に強く引かれます。古臭いと感じる人がいるかもしれませんが「ロミオとジュリエット」が現代まで語り継がれている理由は、そのような恋愛が時代を超えて普遍的なものだからだと思います。ずっと自分が描きたい物語をつくってきましたが、メロドラマも好きなので、暗くて現実的な物語の中にも恋愛的な要素を入れています。
TRANSLATION:HWANG RIE COOPERATION:HANKYOREH21,CINE21, CUON