トラック運転手の構内拘束2時間以内に…コマツ、「物流の2024年問題」の解決策
トラック運転手の時間外労働の上限規制適用に伴う「物流の2024年問題」の解決は、建設機械各社にとって喫緊の課題となっている。こうした中、コマツは大阪工場(大阪府枚方市)をはじめとする国内4工場で、トラック運転手の構内拘束時間を2時間以内に抑える目標を達成した。小川啓之社長は「国内の物流費はかなり上がっている。自動搬送や物流のデジタル変革(DX)など組み合わせて、いろいろと検討している」と話す。物流コスト削減が、新たなテーマになりつつある。 【写真】自動搬送車(AGV)を活用するコマツ工場 トラック運転手の構内拘束時間を短縮するポイントは、さまざまある。第1がトラック入退場システムの導入。これで各トラックの入場時刻を正確に知ることができ、拘束時間が長引いているトラックの把握が容易になった。第2に工場内の荷物の荷下ろし場所を1カ所に集約したこと。これまでは荷物の種類や大きさによって荷下ろしをする場所が異なり、運転手が自分で工場内に運んでいた。 1カ所の集約とともに、ここから工場内への運び入れ作業はトラック運転手ではなく、コマツ側が担当するようにした。運転手は指定場所に荷物を置けば、すぐに退場できる理屈だ。運転手の拘束時間は減るが、コマツにとっては新たな仕事が増えることになり、運び込み作業は「4工場合計で40人分の仕事量に相当する」(コーポレートコミュニケーション部)。これをどう効率化するかが、新たな課題になった。 荷下ろし場所を1カ所にしたため、限られた時間帯にトラックの荷物が集中したら非効率になる。これを避けるため、6時だった工場の開門時間を4時に繰り上げた。さらに、従業員の出社時間と重なるため一定の荷下ろし作業禁止時間を設けていた措置を緩和し、トラックが入れる時間帯を増やした。荷下ろし場所の予約システムも導入した。 構内は広いため、入場後に食事などで休憩している運転手もいた。そのことで残業代が増えては困るため、専用の休憩スペースを新設し、休憩は原則的にここで取るようにした。運転手の苦情や相談を受け付ける相談窓口も設置。この相談窓口は行政も設けているが、小川社長は「相談内容が工場個別の話題になるため、当事者同士が直接話し合うほうが迅速に解決できる」と力説する。コマツの押し付けでなく、運転手の意見、運送会社の事情などを聞くことで良好な関係を構築しようとしている。