首位奪還の立役者・倉持杏子が「みんなでつかんだ勝利」とあえて強調した理由。開幕敗戦から4カ月で示した女王・バルドラール浦安ラス・ボニータスの真価。【インタビュー|女子Fリーグ】
フィクソ出身だから感じる1点の重み
──レギュラーシーズンを終えて首位に立ちました。 この第10節、11節、今シーズン初めての連戦は総力戦になることはわかっていました。北海道戦も楽ではなく、得点をうまく積み重ねられなかったですけど、メンバー全員で3セット回しで戦えました。西宮戦も激しい試合になることはわかっていた上で、それぞれが自分のできることや役割を全うできたと思います。そこには、選手同士の信頼がありました。 だから、ありきたりかもしれないですけど、みんなでつかんだ勝利だと、本当にそう思っています。細かいかもしれないですけど、スタッフの存在も本当に大きかったです。 ホテルを取ってくれたり、連戦を考慮してタクシー移動の判断をしてくれたり、チェックアウト時間を遅らせてくれたり、補食を用意してくれたり……全部、当たり前のことではありません。それに、この2日間でメンバー14人全員がトレーナーさんのケアを受けているので、30回近く、ものすごい時間をかけて送り出してくれました。 ──まさにチーム全員ですね。 そう思います。それとやはり、選手同士の信頼関係は本当にすごいと思います。普段、練習からバチバチやり合っているからこそだと思いますし、ポジション争いをしている選手であっても、お互いに気持ちよく送り出せる関係があります。今日も、なる(平井成美)が最初に出ていましたが、以前であれば自分がポジション争いをしている選手に前向きな言葉をかけられなかったかもしれません。ラスボニのように激しい競争があるチームではなおさら、そうした言葉をかける関係性が不要な場合もあると思います。だけど私が出場する時に、なるやシブ(澁川鈴菜)など、争っている仲間が背中を押してくれる。そんな関係性でいられることがうれしいですし、それが今のラスボニの強さだと思います。 ──選手同士の信頼関係こそが強さ。 はい。今日の試合、最後に守り切れたのは(伊藤)果穂さんたち、相手のパワープレーの時間帯で出ていたセットが守備を頑張ってくれたからだし、1点で抑えてくれたからです。自分は得点を量産できる選手ではないし、今回は2点を決められましたけど、みんなでつかんだ勝利ということを本当に実感しています。もともとフィクソをしていて今は前線でプレーしているからこそ、1点を守ることの重みをより感じていますし、逆に前からの守備や得点で貢献するという意味でも頑張らなきゃいけないと感じた試合でした。 ──ファイナルシーズンは、5連覇に向けてどんな意識で戦っていきますか? 上位リーグでは、どのチームも同じように戦わせてくれる相手はいないと思います。それに、チーム内でもこれからさらにポジション争いが待っています。 この2、3週間くらいは2つ以上のポジションをやる選手や、新しい組み合わせの練習もたくさんしてきました。そういう時間を大事にして、どの相手に対しても、いつもやっていることをやれば大丈夫と思えるくらいまで突き詰めていきたいです。そして、今の順位は一度忘れて、自信をもって戦えたらいいと思います。どの試合も接戦になると思うので、構えるよりもどんどんチャレンジする戦い方をしていきたいです。