“ネコを食べた女”事件と「移民はペットを食べる」トランプ氏発言 “伝聞混同”で誤情報拡散…地域のイメージダウンで女に重罪適用か
“伝聞繰り返したような話”が事件と混同され誤情報拡散
その頃、スプリングフィールドの住民のフェイスブックに「近所の人から聞いた話ですが、その人の娘の友人のネコがいなくなり、ハイチ人の家で吊るされているのを見たということです。ハイチ人はネコを食べるために切り刻んだのです」という話がアップされた。 ロイター通信が投稿者を取材すると「近所の人は、その友人の友人から聞いた話」だと何回も伝聞を繰り返したような話だということが分かった。 その間、この話はスプリングフィールド市から172マイル(約275キロ)離れたカントン市の事件と混同されることになり、米国生まれのフェレル被告がハイチの不法移民であったかのように誤った情報が拡散してしまった。 トランプ氏は、伝言ゲームの最後の参加者のような立場でその話を聞いたわけで、確証を得ずにテレビ討論という万人注視の場で口にしたことは弁解の余地もないとしても、意図的に「フェイクニュース」を発信したというそしりは免れることになったようだ。 それよりも、オハイオ州スターク郡では住民が「ネコを食べる」かのように喧伝され、大きなイメージダウンになってしまった。フェレル被告に重罪が課せられたのも、その責任が問われてのことのようで、判決にあたってフランク・フォーキオーネ判事はこう言い渡したという。 「あなたはこの郡、この国、そして何よりも自分自身を辱めたのだ」 【執筆:ジャーナリスト 木村太郎】 【表紙デザイン:さいとうひさし】
木村太郎