150年前のアイヌ絵と北海道地図、鮮明に 函館の民族資料館の展示品リニューアル
アイヌ民族などの資料約1万点を収蔵する北海道の函館市北方民族資料館が4月、開館以来35年ぶりに展示品を新しくした。380点ほどの展示品のうち、約150年前の風俗画と地図について、最新の技術を使い色鮮やかで精細なレプリカを作製。担当者は「より実物に近い形の展示が楽しめるようになった」と胸を張る。(共同通信=金子茉莉佳) 幕末―明治初期に活躍したアイヌ絵の代表的画家平沢☆(尾の毛が併の旧字体のツクリ)山(びょうざん)の「アイヌ風俗十二ケ月☆(尾の毛が併の旧字体のツクリ)風」は、川でのサケ漁や儀式の様子など1年間の生活が描かれている。服装や生活用具の描写が細かく、当時を知る資料として貴重だ。元のレプリカは経年劣化で色落ちしていた。 新たな展示では、研究者の協力を得て原本の撮影データの色を調整。開館当時の印刷技術では再現しきれなかったアイヌ文様や入れ墨が鮮明になった。中でも服装の色鮮やかさが目を引く。「ウルトラマリンと呼ばれるきれいな青が、この絵の魅力」と木戸忍館長は解説する。
幕末の探検家松浦武四郎が自らの足で赴いて調べた北海道や樺太(現ロシア・サハリン)、千島列島の地図「北海道国郡図」のレプリカも、線がより細部まではっきり見えるようになった。 ぎっしり埋め尽くされた小さい片仮名も判読可能となり、サルフツ(猿払)やナヨロ(名寄)など、松浦が地元のアイヌの人たちに教えてもらった地名が、今の北海道にも多く残されていることが確認できる。 木戸館長は「平沢も松浦も、地元のアイヌの人々と交流し、仕事以上の関係を築けているのがすごいところ。彼らが残した資料を多くの人に見てほしい」と期待した。