巨人は本当にBクラス脱出どころか優勝争いへ参戦できるのか?
オープン戦で“優勝”したのは、昨季11年ぶりにBクラスに低迷した巨人だ。11勝5敗1分でロッテに1ゲーム差をつけてトップでゴールした。昨季の本塁打王のゲレーロを中日から強奪、FAで西武から昨季11勝10敗の野上亮磨(30)を獲得してマイコラスの流出に手を打ち上原浩治(42)がメジャーの停滞していたFA市場にしびれをきらしたのを確認すると電光石火獲得に動いた。それらの補強が成功。同時に若手が結果を出した。 4年目の岡本和真(21)は、打率.267、4本塁打、15打点で“打点王”、2年目の吉川尚輝(23)も打率.296をマーク、2本塁打、4盗塁で右打者がズラリと並ぶ打線において貴重な左打者として存在感を示した。激励会で、早くも開幕スタメンを発表した高橋由伸監督は、「2番・二塁」で吉川、「6番・一塁」で岡本の起用を決め、阿部慎之助(39)を代打に回した。OP戦のチーム防御率は12球団で2位につける2.97。“7回の男”上原だけでなく、昨季は故障で泣いた沢村拓一(29)が5試合で無失点を記録するなど、中継ぎ強化に一枚加わり、沢村、上原、マシソン、カミネロと、勝利の方程式を充実させた。 高橋監督は、阪神との開幕3連戦の先発も発表。開幕にはエースの菅野智之(28)、第2戦に“トラキラー”の田口麗斗(22)、第3戦に野上を指名している。 元巨人で代走のスペシャリストとして活躍した鈴木尚広氏の順位予想では巨人が2位。 「広島、巨人、阪神の3球団の三つ巴で優勝争いする」と見ている。 「巨人は投打においてチーム内に競争が生まれてきたのが大きい。野手では岡本と吉川。岡本は打てるゾーンが増えた。シーズンに入れば、相手の右、左や、調子によって阿部との併用の場面も出てくるのかもしれないが、阿部を代打におけるのならば、ゲームの後半の攻撃パターンに厚みが増す。また唯一足の使える吉川が打線に加わることで幅は広がる。まだ守りでのイージーミスもあるが、坂本と吉川でセンターラインを固めることができれば、これから先のチームの形が見えてくる。大城や田中らの日替わりヒーローが出てきているのもいい傾向だ。昨年の本塁打王(35本)のゲレーロはオープン戦でもきっちりと5本打った。東京ドームならば30本以上は、打つだろうし、ゲレーロと岡本で50本打てれば、得点力はアップすると思う。一発の魅力は巨人の打線に足りなかった部分だ」 あくまでもOP戦なので割引は必要だろうが、昨季と比べて1試合平均の得点は3.75点から4.59点にアップ、1試合平均の本塁打数も0.79本から1.12本に増えている。1シーズンに換算すれば、160本ペースで、昨季リーグトップだった広島の152本を越える数字となる。 鈴木氏は投手陣のポイントには「上原」の名前を挙げた。 「上原さんの加入で手薄だった中継ぎの問題が解決した。上原さんは、球数が少なく、コントロールミスのない投手。実績と経験、そして、生え抜きの選手でファンの期待値が高くムードとリズムを作ることができる。そして、沢村が復活したことが大きい。ブルペンが3人と4人では全然違う。先発は菅野が絶対的な存在だが、田口に続く3枚目、4枚目がまだ弱い。ここに野上、山口が入るのだろうが、野上にしてもコントロールはいいが、決め手に欠ける。ただ初めてベテランと若手を交えてチーム内に先発争いが生まれている。5、6枚目を中川だけでなく、ベテランの内海、大竹もアピールしている。ギックリ腰で出遅れた畠も出てくるだろう」 巨人の昨季はBクラスとはいえ、3位の横浜DeNAとは、2ゲーム差で勝ち数は1勝しか違わなかった。13連敗と、対広島の7勝18敗の対戦成績がなければ、Aクラスに滑り込めていた。OP戦でのプラス材料を加味すればBクラス脱出予想もうなずけるのかもしれない。 一方で巨人のBクラス予想したのが独自評論に定評のある元千葉ロッテの里崎智也氏だ。