「PBR1倍割れ企業、排除」と言ったのは東証ではなかったーー東証岩永社長×シンプレクス水嶋社長対談
2024年は日経平均株価が34年ぶりに史上最高値を更新し、7月には4万2000円台に到達した。一方、8月には過去最大幅の暴落を記録(下落率では史上2位)、その翌日に回復。激動の日本株市場について東京証券取引所の岩永守幸社長と、運用会社のシンプレクス・アセット・マネジメントの水嶋浩雅社長が語り合った。【本記事はアエラ増刊「AERA Money 2024秋冬号」から抜粋しています】 【写真】東証の豪華な応接室での対談写真はこちら! (水嶋)8月5日の大暴落とその後の急回復で、運用の現場的には慌ただしかったです。 (岩永)ここまで下がるかという感じでしたね。7月末の日銀の追加利上げと低調な雇用統計を受けた米国の景気不安、短期売買の海外ヘッジファンドのポジション解消などが重なりました。 (水嶋)アルゴリズム取引も。 (岩永)はい、夏休みを取るトレーダーがリスク管理のため、一定の下落で自動的に売りを出すプログラムを設定していたようです。 (水嶋)実は私もたまたま8月5日は夏休みで海外にいました(笑)。 (岩永)(笑)底値から回復する際の買い手も海外勢がメインで、長期リターンを求める年金基金や企業年金でした。「日本企業の業績はいいのに売られすぎ」という判断で。これは暴落・回復したあとに海外投資家や証券各社へアンケートを取ってわかったことです。 (編集部)運用会社であるシンプレクスさんも、買いましたか? (水嶋)暴落当日は、待機資金(キャッシュ)でめいっぱい買いました。海外から急きょ東京のファンドマネジャーとネット経由で議論しましたが、下落が続くリスク材料がどんなに調べても出てこない。「これは一時的なパニック売りだろう」という結論になりました。 (岩永)買いの決定打は何ですか? (水嶋)市場改革はまだまだ続くと思うからです。東証さんや当局が日本企業に株主重視の経営を求めて、それに応える企業が増えてきました。この流れは本物です。