『モンスター』聖地巡礼に隠された闇 杉浦メイン回でSixTONES ジェシーが大活躍?
悪いのはだれ? 『モンスター』(カンテレ・フジテレビ系)第7話では、聖地巡礼をめぐるトラブルを取り上げた(以下、ネタバレあり)。 【写真】スーツ姿で凛々しい表情のジェシー(SixTONES) 聖地巡礼はコンテンツツーリズムの一種で、漫画やアニメ、ドラマのロケ地など作品にゆかりのある土地を訪れる行動を指す。第7話の依頼人は饅頭屋の従業員。「みやこし」で働く里佳子(堀未央奈)は、大ヒットドラマ『君が生まれたこの街で』のロケ地で開催されたイベントでケーブルに接触し感電してしまった。里佳子は、イベントを主催した観光課とテレビ局、勤務先を相手取って損害賠償の訴訟を提起する。 第7話は杉浦(ジェシー)のメイン回だった。少なくとも訴訟に関してはそうだ。『モンスター』において、自由奔放な亮子(趣里)と振り回される杉浦の対比が物語の推進力になっている。振り回す亮子の遠心力が強ければ強いほど、杉浦のあわてぶりは際立つ。ギャップが強調されたバディは、ある種のスラップスティックを体現している。では、すぐ近くにいる二人を引き離したらどうなるのか? あるいは振り回すのをやめたら? その答えは一目瞭然だ。静止した亮子に対して、遠心力から解き放たれた杉浦は勢いを止めないまま軌道をそれていく、全速力で。 賠償額1億円の事件に杉浦は張り切る。事故の因果関係を探るべく、店主の宮越(ドロンズ石本)、観光課の吉原(夙川アトム)、テレビ局の笹野(須田邦裕)に聞き取りを開始。話を聞くうちに一連のブームの裏で糸を引く人物が浮上する。イベント主催者の安全管理か、出店者である店舗の労働災害か。事故を起こした責任の所在は、プロデューサーの坂口(林泰文)にあった。作品を守ろうとするあまり、坂口は歯止めが効かなくなり、テレビ局の言いなりになるしかなかった けれども、そこで終わらないのが『モンスター』である。あっと驚く自白によって、被害者は加害者に変わり、事故は事件性のない狂言に早変わりした。うっすらと漂っていた作品の批評性が、前面に出てきたのが第7話だった。テレビドラマを取り巻く状況を俯瞰しつつ、ファンと作品の関係性に大胆にも斬り込んでいく。劇中劇のメタ視点は、一歩引いた位置で観測する亮子によって客観性を帯びる。その視線の先に作品を受容する私たちがいた。