【Japan Data】東日本大震災から13年:被災地と福島第1原発の現状
2011年の東日本大震災発生から3月11日で 13年。被災地と福島第1原発をめぐる、この1年の新たな動きをまとめた。
福島県双葉町で復興支援団体が主催した記念イベント「ただいま おかえり 双葉の夏」に集まった人々=2023年8月26日(時事)
原発「処理水」放出を開始
東京電力は2023年8月24日、福島第1原発から出た「処理水」(核燃料の冷却などに使った汚染水の放射性物質をろ過プロセスで取り除き、除去が難しいトリチウムなどが一部残存している水)の海洋放出を開始した。23年度は約3万1200トンの水を4回に分けて海に放出する。 政府は21年4月、処理水の海洋放出を決定し、国際原子力機関(IAEA)に安全性の調査を依頼。IAEAは23年7月、海洋放出が国際的な安全基準に合致していると結論付ける報告書を公表した。 全国漁業協同組合連合会は6月、海洋放出に反対する特別決議を採択。中国税関は放出開始当日の8月24日、日本の水産物の輸入を全面的に停止すると発表した。
「特定帰還居住地域」を新設
東京電力福島第1原発事故による放射線物質の放出・拡散により、原発周辺の7市町村の一部が現在も避難指示区域(帰還困難地域)に指定されている。 政府は帰還困難地域のうち、6町村で優先的に除染を進める「特定復興再生拠点区域(復興拠点)」を定め、2022年6月から順次避難指示を解除し、23年5月にはすべての復興拠点が解除された。大熊町、双葉町などの復興拠点ではインフラ整備が進む一方、避難先からの帰還を望む住民は今のところ、わずかな数にとどまっているのが実情だ。 23年6月の法改正に伴い、政府は復興拠点外の帰還困難区域でも避難指示解除が可能となる「特定帰還居住地域」を新設した。住民が帰還を希望した場合、市町村が計画を作成・申請し、同区域に指定されれば国費で住宅の周辺や道路などを除染できる。これまでに大熊町、双葉町、浪江町、富岡町で計画が認定され、除染作業が始まっている。