【衆院選】与野党の前職2人が3度目対決 共産新人が出馬し「野党競合」に 区割りも変更 広島5区
衆院選公示の15日、広島県尾道市のJR尾道駅前。広島5区に立った自民党比例代表中国ブロック前職の小島敏文(74)は、出陣式の冒頭から声を張り上げた。「本当に崖っぷちの選挙を戦っております」。たすきには「小選挙区一本 背水の陣」と記していた。 衆院選広島1~6区の立候補者一覧(計21人の略歴) 旧6区に立ちながら4回続けて比例復活し、今回は重複しない。「政治とカネ」問題の逆風も吹く。演説では党派閥裏金事件を謝罪し「政治資金規正法は改正したが、もっと透明性をしっかりと(高めるよう)頑張る」と党支持層の引き留めを図った。比例代表は「公明党」と呼びかけ、連立を組む同党の組織力に期待した。 区割り変更に伴い旧4区の三原市大和町、旧5区の同市本郷町と尾道市瀬戸田町が加わった。いずれも自民党が票田としてきた「保守地盤」。小島にとって三原市は県議時代の選挙区でもあり、特に票固めに腐心する。本郷町の演説では「町のことは隅々まで分かっているつもり」と長年の縁をアピールした。 一方、通算5選を目指す立憲民主党前職の佐藤公治(65)。小島とは3度目の対決となる。庄原市の出陣式では、元金融担当相、亀井静香(87)が寄せた「全力を挙げて取り組む」とのメッセージが代読された。 庄原市出身の亀井の支援に加え、自民党衆院議員で農林水産相を務めた父の守良(1996年死去)の尾道市の地盤を継ぐ。前回選では両市の得票が勝利を決定づけた。 佐藤は演説で「亀井先生も父も自民党を離党した。原点は日本の設計図を変える改革」と振り返り、地方創生の思いを引き継ぐ決意を披露。野党候補でありながら、保守系の後継者との位置付けをあらためて示した。 たすきには「結集」の2文字。参院選で野党系候補の当選を後押しした政治団体「結集ひろしま」の代表を務め、「健全な政治を取り戻そう」と幅広い支持を呼びかける。推薦する連合広島の幹部が各地でマイクを握り、労組票も固める。ただ、「結集」に影を落としかねないのが共産党の候補擁立だ。 共産党新人の猪原真弓(63)は尾道市の出陣式で「一握りの大金持ちや大企業に手厚くしている自民党では暮らしはよくならない」などと現政権を批判。立憲民主党についての言及はなかった。 三つどもえだった2017年の前々回選では、別の共産党新人が1万4千票余りを得た。前回選は「野党競合」せず、共産党支持層の多くが佐藤に投票したとみられる。 佐藤は17日、尾道市の演説会で「前回出なかった共産党が1万数千票を取る。決して楽な戦いではない」と危機感を訴えた。小島は公示前、共産党の新人擁立について「それはいいこと。大歓迎」との本音を報道陣に吐露している。=敬称略
中国新聞社