4.5km離れた千歳烏山になぜ「深大寺門前そば」? ほんのり若草色な秘密は…37年続く名店の“本格春菊天そば”が絶品だった
調布にある名刹、深大寺。その門前に広がるのが「深大寺そば」の名店たちである。霊験あらたかな門前そばの里として観光客も多く訪れる。そば食いの人達も定期的に訪れる。ただ、鉄道駅からは遠く、車も渋滞する。週末になればどこも大混雑である。 【写真】この記事の写真を見る(13枚) そんなわけで、深大寺に行かなくとも深大寺そばを気軽に味わうことができる大衆そば屋が、昭和・平成の時代にはいくつか存在した。「深大寺門前そば 千歳烏山店」もその一つである。11月末のよく晴れた土曜日、小春日和の午後2時頃、1年ぶりに訪問した。
ガラスケースには「おにぎり」「おはぎ」も
「深大寺門前そば 千歳烏山店」は京王線千歳烏山駅を降りて、線路北側の商店街に入ったすぐのところにある。店の入り口には「いなり」、「おにぎり」、「おはぎ」などがガラスケースに配置されて販売されている。 「おにぎり」はなんと9種類。近所の奥さんたちが自転車で買いに来ている。入店すると左に長いカウンター、右にテーブル席が3つほどあり、家族連れや近所のオジサンが実食中だった。店は女性店主と女性スタッフの2人で切り盛りしていた。
あざやかな緑色の春菊天など自家製天ぷらが並ぶ
カウンター中央に揚げたての天ぷらが並んでいる。かき揚げ、ごぼう天、たまねぎ天、そして緑色があざやかな春菊天など。人気メニューを女性店主に聞くと「春菊天そば」、「ごぼう天そば」、「かき揚げそば」だという。さっそく、「ごぼう天そば」を注文した。すると手際よく茹で麺を湯通しして、つゆをかけて天ぷら、ネギをのせ完成だ。すばやい作業である。
アツアツのつゆに立ち上がるごぼうの香り
まず、つゆをひとくち。鰹節の出汁がじんわりと香る。返しがしっかり効いたくっきりしたアツアツのつゆである。そばは中太、コシもしっかり。ごぼう天は太めにカットして揚げたタイプで歯ごたえがよい。ごぼうの香りがつゆの香りと同時にじんわりと立ち上がる。どんぶりの縁が緑色なのもなんだかよい気分だ。
昭和62年創業の古参店
女性店主に、食べながら店のことを聞いてみた。店は昭和62(1987)年に創業し、今年で37年だそうである。深大寺門前と名乗るからにはそれなりの理由がしっかりある。 深大寺からやや北寄りの深大寺東町8丁目に「深大寺門前そば本舗」という老舗そば屋がある。調布市にはなくてはならない人気の名店でいつも満員御礼となっている。 「深大寺門前そば 千歳烏山店」はこちらから生そばを仕入れている。資本関係はないという。昭和62年当時、「深大寺門前そば本舗」に行き、大衆そば店をやりたいので麺を卸して欲しいとお願いすると、当時の社長さんが快諾してくれて店をスタートすることができたそうだ。