習近平とバイデンが結託…!?完全にはしごを外された岸田総理の「超外交敗北」の舞台裏
恐怖の体験
大統領との4年間を夢見て対中強硬路線を打ち出した総理を見捨てるかのような「米中急接近」。バイデン側にも狙いはある。皮肉にも、岸田総理にも呼びかけた「トランプ再選阻止」だ。外務省の幹部が明かす。 「習近平主席もまた、トランプを大の苦手としています。というのも、習氏とトランプ大統領との最初の米中首脳会談となった'17年4月、フロリダの大統領の別荘で、習氏は在任中でもトップクラスの『恐怖の体験』をしたからです。 円満な雰囲気で進んだディナーが終わる頃、大統領が突然『今夜のデザートはトマホークミサイルだ! 』と告げました。その直前に地中海東部に展開する米海軍の駆逐艦から、シリアに向けて59発のトマホークミサイルが発射された報告を受けて、快哉を叫んだのです。まるで、当時シリア紛争を巡って立場を異にしていた中国を威嚇するかのように、です」 このときの体験がトラウマとなった習主席にとって、トランプ再選は悪夢そのもの。トランプは「再選されたら中国に60%の関税をかける」と公言しているが、そんなことをされたら、中国経済は崩壊する。それはすなわち、習近平政権の崩壊をも意味する。 「なんとしてもトランプ再選を阻止したいという点で、習主席とバイデン大統領は利害が一致している。そこで、大統領選まで米中でハイレベルの交流を継続して行い、お互いに譲るところは譲って『どうすれば天敵・トランプの再選を防げるか』を協議することにしたのです。 岸田総理はバイデン政権が中国に接近したことで、はしごを外されてしまった。結局、アメリカからいままで以上に重い軍事的な責務を負わされたうえ、中国の逆鱗に触れただけだった、とも言えます」(同)
中国の恐るべき一手
外交の岸田と呼ばれた私が、アメリカにハメられるとは___。「バイデンショック」とも言うべき事態を前に、岸田総理はいま茫然自失状態だという。それを見計らったように、中国は厳しい一手を打ってきた。外務省幹部が続ける。 「中国の元慰安婦の遺族が、中国で日本政府を提訴し謝罪と賠償を求めたのです。中国人の元慰安婦をめぐって日本政府を提訴するのは、中国では初めてのこと。習近平は急接近している日韓の引きはがしを図って、この『慰安婦カード』を切ってきたのです」 実に厄介な問題で、今回の日米共同声明に対する中国の怒りが伝わってくる一手だ、とこの外務省幹部は解説する。 それでも、バイデン大統領が再選されれば「フミオ、あのときの約束を覚えているかい? もう中国への歩み寄りは終わりだ。これからの4年間、君とともに歩もう」と再度「強固な日米関係」が示されるかもしれない。 しかし総理は今回の訪米を通じて密かに感じ取っているはずなのだ。「アメリカ全土がトランプ再選の熱気に包まれていて、それは避けられそうにもない」ということを。つまり、バイデン大統領との強固な関係など、あと1年もすれば意味をなさないものになってしまうということを……。 「週刊現代」2024年5月11日号より
週刊現代(講談社)