【ジャパンC】(8)オーギュストロダン本気!世界最強G1・400勝調教師の悲願へ
中央競馬の秋の頂上決戦「第44回ジャパンC」の枠順が21日、確定した。欧州から3頭参戦のG1馬の中でも注目はアイルランド馬オーギュストロダン。日本でもなじみ深いディープインパクト産駒は今回が引退レース。世界を席巻する名調教師エイダン・オブライエン師(55)と、ジャパンC2勝を誇る名手ライアン・ムーア(41=英国)の黄金タッグが、本気で挑むラストランから目が離せない。馬券は22日午後6時半からネットで発売が開始される。 欧米でG1・6勝。これまでジャパンCに参戦した外国馬の中でも、とりわけビッグネームと言えるオーギュストロダン。世界一のレジェンドトレーナーが鍛え上げた傑作がラストランの地に選んだのは日本。05年ダービー、06年ジャパンCで父ディープインパクトが圧巻の走りを見せた東京競馬場の芝2400メートルだ。 「父は日本で活躍した。最後のレースとして花道を飾るのはジャパンCがふさわしい。これは私の夢だった。もちろん今まで連れてきた中で、一番良い馬だ」 管理するオブライエン師の語気に熱がこもる。世界各地でG1・400勝以上を挙げてきた名トレーナーも日本のG1は未勝利。過去5度のジャパンC出走の際は来日しなかったが、今回はレース5日前の19日に早々と来日。自ら調教の陣頭指揮を執る。「ジャパンCは世界を見渡してもベストレースの一つ。難しいレースになると思うが勝ちたい。雄大なフットワークは東京向き。(馬も)レースに勝ちたい気持ちを持っている」。今回は間違いなく本気モードだ。 19年夏に急死したディープのラストクロップ(最終世代産駒)。師は「(産駒は)特別なスピードがあるし、動きのかっこよさも素晴らしい」と評する。「残念ながら最後の方の産駒しか調教できなかったのが悔やまれる。もっと早く携わることができたら良かった」としみじみ語った。 世界が注目する一戦。枠順は5枠8番に決まった。「7より内がいい」という希望は微妙にかなわずも「どの枠でも対応できる」と意に介さない。勝てばディープ産駒のJRA・G1・72勝目。サンデーサイレンスを抜き、種牡馬最多G1勝利数となる。亡き父の母国で、父にささげる孝行息子の激走に期待する。 《オブライエン師「一番良い馬を連れてきた」》オーギュストロダンを管理するA・オブライエン師はアイルランド出身の55歳。93年、23歳の若さで調教師となり厩舎を開業。当初は障害競走主体だったが、その後に世界屈指の競走馬生産グループである「クールモア」の専属調教師となり、99年から今年まで26年連続でアイルランドの調教師リーディング(獲得賞金順)首位。英国でも6度の首位を獲得している。 英ダービー10勝をはじめ英国、アイルランド、フランスの競馬主要3カ国でクラシック98勝。17年にはG1・28勝をマークし、1シーズンにおけるG1最多勝記録を更新した。オーギュストロダンで制した今年6月のプリンスオブウェールズSでG1通算400勝を達成。世界を席巻するレジェンドトレーナーだ。 《JRA所属以外は史上初引退セレモニー》オーギュストロダンの引退お披露目式がジャパンC当日の最終レース終了後に、ウイナーズサークルで行われる。JRA所属以外の馬がJRA競馬場で引退セレモニーを行うのは史上初。オブライエン師、ムーアらが出席予定。式の模様はJRA公式YouTubeでライブ配信される。 ◆オーギュストロダン 父ディープインパクトが急死する直前の種付け時期に母ロードデンドロンと日本で交配。アイルランドに帰国し20年1月に誕生。国内外で12頭のみ血統登録されたラストクロップの一頭。23年英愛ダービーを連勝し、ディープ産駒の全13世代クラシック制覇を達成。