まさかの発泡スチール製だと!? 農家の軽トラに革命が起こりそうな「箱明」がローテクなのにスゴイ!!
発泡スチロールの断熱性を活かして鮮度を維持!
いま、トラックを初めとするクルマの世界では、安全・快適・高性能などといったキーワードで、「先進技術」が多数投入されている。とくに近年は、SDGsやエコに注目が集まっており、カーメーカーなどがその技術を競い合っているといった状況だ。しかし、SDGsやエコを実現するのはなにも「先進技術」だけではなく、「ローテク」を利用して「工夫」を凝らしたものも少なくない。 【写真】中はかなり広いぞ! 「箱明(HACOAS:ハコアス)」の内部とは 5月にパシフィコ横浜で開催された自動車関連技術の展示会「人とくるまのテクノロジー展 2024 YOKOHAMA」でも、EV(Electric Vehicle)に関する最先端の技術に交じって、注目を集めていたローテクアイテムがあった。それが、発泡スチロール製の軽トラック用コンテナボックス「箱明(HACOAS:ハコアス)」である。これは、発泡スチロールの断熱性を利用して、生鮮食品の鮮度維持をサポートするアイテムだ。 販売しているのは「箱明」という会社だが、開発したのは「木村鋳造所」と「東京鋳造所」。「箱明」は、「東京鋳造所」代表者が出資する会社である。 「HACOAS」は、農業のサポートを目的として開発された。発泡スチロールの断熱効果を利用するので、電気などのエネルギーを使った保冷・保温システムを必要としないので、大幅なCO2の削減に寄与しているのだ。また、恒久的に使用可能な発泡スチロールをベースに作られているため、廃棄物発生の抑制にもつながっている。
農作業の時間短縮にもつながる
その製品的特徴は、高い保温性にある。通常であれば、外気温が10℃から35℃に上昇した場合、100分程度で野菜もそれに近い温度にまで上がり、品質の劣化につながってしまう。ところが、「箱明」に入れることで温度の上昇が17℃程度に抑えることができるのだ。 また、耐久性にも優れている。ボックスの外側全体に、高い耐久性(防水性・防食性・耐摩耗性・耐薬品性)をもつポリウレア塗装がされており、衝撃などから本体や荷物を守ることができる。その強度は、金槌で叩いても壊れないレベルだという。 取り付けの汎用性が高く、2000年以降に製造されたほぼすべての軽トラックの荷台に搭載が可能。サイズは全幅1430mm×全長2055mm×全高1325mmと広く、農業用ハーフコンテナにして約40個を積載できるのだ。 農業の現場では、保温性を生かした生産物の安心・安全な運搬に加えて、夜に収穫した場合などに短時間の貯蔵倉庫として利用している。荷物の出し入れは両サイドのアオリを上にはね上げて行なうのだが、これが屋根代わりになるので雨や強い日差しを避けて作業ができる。また、荷台が本来平台であったものから、バン型トラックと同じボックス型になるため、荷物をそこに収めればいちいちシートやロープをかける必要がない。そのため、農作業の時間短縮にもつながっているのだ。 ボックス本体は発泡スチロールなので、外観には塗装や加工が可能なことから、オリジナルの文字・ロゴ・図案などを描くことができる。これは、高い宣伝効果が期待できるので、移動販売車として活用することも考えられよう。 出発点はSDGsやエコの実現と農作業の負担軽減に寄与することであったが、その性能が思いのほか高いので利用範囲は農業に留まらず、さまざまな軽トラックの活躍シーンに貢献が期待できそうなアイテムだといえるだろう。
トラック魂編集部