【Playback箱根駅伝】第78回/“紫紺対決”再び!今度は駒大に軍配!壮絶な2区など名シーン多数
2024年に箱根駅伝は第100回大会を迎える。記念すべき100回に向けて、これまでの歴史を改めて振り返る『Playback箱根駅伝』を企画。第1回大会から第99回大会まで、大会の様子を刻んでいく。(所属などは当時のもの) 第78回箱根駅伝の総合成績&区間賞一覧をチェック!
第78回(2002年/平成14年)駒大が2年ぶりV奪還!往路は神奈川大が優勝、今も記憶に残る壮絶な2区
出雲駅伝1位、全日本大学駅伝3位の順大と、出雲2位、全日本1位の駒大。前回の優勝、準優勝の両校が再び“紫紺対決”を繰り広げた。前回出場校のうち拓大、國学院大、平成国際大が予選会で姿を消し、亜細亜大が5年ぶり、専大が4年ぶり、関東学院大が2年ぶりに本戦出場を果たした。 往路はすべての区間で先頭が入れ替わる大混戦。1区はスローペースで推移し、残り300mでスパートした順大の入船満(4年)が区間賞を獲得。1秒差で神奈川大、さらに2秒差で中大が続き、最下位(15位)の日大までが45秒差という僅差で戦国駅伝が幕を開けた。 2区では順大、神奈川大、中大、山梨学大の4校が先頭集団を形成し、10秒ほど後方で9人の5位集団が追う展開に。5km過ぎ、第2集団を牽引していた法大の徳本一善(4年)がペースアップを図ろうとした瞬間にふくらはぎを肉離れ。2年時に1区区間賞、3年時には2区で3位からトップを奪う快走を見せた絶対的エースが無念の途中棄権に終わった。 その後、先頭争いは山梨学大のオンベチェ・モカンバ(1年)が抜け出し、トップで戸塚中継所へタスキリレー。11秒差で早大が続き、8位の大東大までが1分差と、ここでも大きな差は生まれなかった。 3区では早大の森本哲(3年)が区間賞の快走で首位に浮上。優勝候補の順大はこの区間で8位に転落した一方で、2区終了時で9位と出遅れていた駒大が猛烈な追い上げを見せた。3区の島村清孝(3年)が区間2位の好走で4位まで順位を上げると、4区では松下龍治(3年)が区間2位に1分以上の差をつける区間トップの走りで一気に先頭へ。5区の1年生・田中宏樹にタスキを託した。 山上りの5区では快調に歩を進める田中に対し、後方から神奈川大の吉村尚悟(2年)、さらに後ろから順大の野口英盛(4年)が猛烈な勢いで追い上げを見せた。中盤以降は強い向かい風が吹き荒れるコンディションとなるなか、吉村が16.5km付近で首位に浮上。田中も19kmまでは懸命に食らいついたものの、神奈川大が4年ぶりに往路優勝を達成した。駒大が23秒差で2位となり、8位から5人を抜いた順大の野口が47秒差の3位でフィニッシュした。 4位の早大、5位の大東大、6位の中大までがトップと3分差以内となり、ここまでが優勝争いの可能性が残る展開に。一方、全日本2位の山梨学大は4区終了時で5位につけていたが、留学生で初めて5区に起用されたデビット・カリウキ(3年)が区間11位と振るわず8位まで転落した。 6区では駒大の吉田繁(2年)が神奈川大を抜いて再び先頭を奪取。順大が2位に浮上し、5位でスタートした大東大の金子宜隆(4年)が前回自身が打ち立てた区間記録には43秒及ばなかったものの、区間賞の走りで3位まで順位を上げた。 7区以降では駒大の強さが光る。7区の揖斐祐治(4年)が区間3位、8区の塩川雄也(1年)が区間2位、9区の高橋正仁(4年)が区間賞。徐々に後続との差を広げ、最後はアンカーの河村修一(4年)が悠々と2年ぶりのVテープを切った。 エースの岩水嘉孝(4年)を直前の肺気胸で欠いた順大が総合2位。2区、3区、7区と区間賞を獲得し、10区の櫻井勇樹(4年)も区間記録を1秒上回る区間トップの走りを見せた早大が6年ぶりにトップ3に返り咲いた。往路6位だった中大は復路で順位を上げて4位でフィニッシュ。1987年から続く連続5位以内を堅守した。 シード権争いはこの年も激戦となり、5年ぶりの出場となった亜細亜大が7位で1996年以来となるシード権確保。帝京大が8位となり、山梨学大が3年連続9位で歴史をつないだ。日大は9区終了時で7位につけていたものの、10区で3つ順位を落としてシード圏外へ。56秒差で涙をのんだ。 参考文献:箱根駅伝90回記念誌(関東学生連盟)
月陸編集部