今更ですが清宮で気になった。なぜJリーグにはドラフトが存在しないのか
野手では史上最多タイとなる7球団が1位指名で競合した高校ナンバーワンスラッガー、清宮幸太郎内野手(早稲田実業)の交渉権を引き当てた、北海道日本ハムファイターズの木田優夫GM補佐が右手を高々と突き上げる――26日のプロ野球ドラフト会議では、今年も新たなドラマが刻まれた。 総勢82人のホープたちが指名され、全国各地で新たな門出へ向けた笑顔を輝かせた一方で素朴な疑問が生じる。同じプロスポーツのサッカーJリーグには、新人選手の補強に関して、なぜドラフト会議の類が存在しないのか、と。 Jリーグが産声をあげた1993年5月に先駆けて、1991年2月にプロ元年を戦う10クラブ、いわゆるオリジナル10が決定している。選定される過程では、傘下にユースをはじめとする下部組織をもつことが絶対条件となった。 創設に尽力したJリーグの幹部に、プロ野球のドラフト会議のようなものは設けないのか、と聞いたことがある。返ってきた答えは、この下部組織と密接にリンクしていた。 「新人選手は下部組織を通じて、自前で育てるものだと考えている」 欧州や南米のリーグと同じ方針が掲げられたものの、日本サッカー界では全国高等学校体育連盟、略して 「高体連」という海外ではほとんど見られない公益財団法人が、日本リーグ時代から新卒選手の供給役を長く担ってきた。 高体連が主催する高校サッカーに憧れ、冬の風物詩でもある全国選手権の舞台で戦いたいと望む中学生は現時点でも少なくない。なかにはJクラブのユースへの昇格をあえて断り、高校へ進む例も増えてきた。高校から大学への進学が選ばれることも然り、だ。 その場合は、どのようにしてプロの世界へ加入するのか。Jリーグでは創設時から自由競争としてきた。ただ、プロ野球で言う契約金が存在すれば、資金力のあるクラブに有望選手が集まる。戦力の均等化を図るために、年俸と契約金に相当する支度金には上限が設定されている。 Jリーグの選手契約は3つの段階が設定されていて、新人選手は原則として「C契約」を結ぶ。年俸の上限は480万円で、J1で通算450分(5試合フル出場相当)、J2では同900分(10試合フル出場相当)をクリアすれば、同じく上限が480万円の「B契約」か、上限のない「A契約」に移行できる。もっとも、新卒1年目で「A契約」を結ぶ場合は、年俸の上限は700万円となる。 支度金は独身で380万円、妻帯者で400万円、同居扶養家族のいる妻帯者で500万円が上限として支給される。Jリーグでは毎年経営情報が開示されているので、いわゆる裏金などを水面下で捻出することもできない。傘下のユースチームからトップチームに昇格する場合も、年俸と支度金で同様の上限が設定される。 プロ野球と比べて、それぞれの金額が圧倒的に低い理由は2つある。クラブの経営状況を悪化させないための配慮と、契約期間が満了すれば移籍金なしで国内外のクラブへ移れるため、高額な支度金は必要ではないという考え方があるからだ。