秋の観光シーズン迎える京都「生活との両立」どうする？スーツケースや混雑・マナー違反…市民の不満に市が考える対策は
秋の観光シーズンを迎え、京都市は観光客の一極集中や市バスの混雑といった課題を解消しようと、新たな対策に乗り出す。キーワードは＜分離と分散＞だ。（相間美菜子） 【図】10月から運行が始まる「HANDS FREE BUS」＝京都市観光協会提供
「観光が市民生活を圧迫するようなことはあってはならない」
松井孝治・京都市長は26日の定例記者会見で、きっぱりと言い切った。「市民、観光客、事業者にとって満足度の高い『持続可能な観光』を確立したい」。市は快適な観光と、市民生活の両立に向けて、あの手この手で対策に乗り出す。
大型荷物預けて
市が今年4～8月、市民から観光課題について意見募集をしたところ、京都駅周辺での観光客の大型手荷物の携行を問題視する声があがった。通行の妨げや市バス内での混雑につながるからだ。
このため市は10月1日から、京都駅を始点に周辺の主要宿泊施設などを結ぶバス「HANDS FREE BUS」を走らせる実証事業を始める。市民と観光客のバス利用を分けるのが狙いで、観光客を直接宿泊施設に運ぶことで、スーツケースを預けてから観光してもらうスタイルを構築したいとしている。
京都駅烏丸口のほか、京都東急ホテル（下京区）やANAクラウンプラザホテル京都（中京区）などを約40分で回る。ホテルの周辺地域には約300の宿泊施設があるため、一定の利用を見込んでいる。12月27日まで、1日あたり8本が走行する。
人気観光地集中
市民からの意見では、伏見稲荷大社など特定の人気観光地への集中も課題としてあげられた。
嵐山地域では、渡月橋や竹林の小径（こみち）での混雑が課題だ。市は11月1日にデジタルマップをリリースし、モデルコースを紹介するほか、スタンプラリーの開催などで、嵯峨エリアへ分散を促す。
東山地域では毎秋、時間帯に応じて交通規制をしているが、東大路通南行（四条―五条間）は特に混み合い、昨年度には最大で600メートルの渋滞となった。市は11月23、24、30、12月1日（正午～午後7時）、社会実験として、同通への車両の流入を抑制するため、市内各地にプラカードスタッフや横断幕を配置し、別の通りに誘導する。
