斎藤工にリリー・フランキーも共感「トイレに行くときに机の上にケータイを置きっぱなしにする人が好き」
“まさか”が起きたときには、スマホがない状態の自分が大事
ーーViVi読者世代の恋愛を見て思うこととか、あるいはアドバイスなどもいただけませんでしょうか? リリー ViVi読者世代の女性が興味を持っているであろうことは、恋愛とかオシャレとか? でも僕らの頃とちょっと変わってきているのは、大半がケータイ上でおこなわれているってことですよね。ケータイで洋服買って、ケータイで彼氏探して。そうすると質感というか、肌感でなきゃ分からないものが、分からなくなる気がするんですよ。やっぱりネットで服を買って一番失敗するのって、サイズよりも質感だったりしますから。あれ、こんなに生地が薄かったんだ!とか。 斎藤 でも文句言えないしなあ、とか。 リリー だから結局、どんだけケータイで物事が便利になっても、人間の直感みたいなことって生じゃないと得られないものなので。まあマッチングアプリで知り合っても最終的には生で会うわけですから、そのときの第一印象を一番大切にしたほうがいいかもしれないですね。 斎藤 いろんなことや、“まさか”が起きたときには、スマホがない状態の自分が大事というか。今年始まってから、まさにその“まさか”が起きていますけど、問われるのは結局はアナログ力みたいなところだと思うんですよ。だからケータイっていうものがない世界でちゃんと生きていけるか、ということは、進化とともに大事にすべきところなのかなって思います。 ーーそういう意味では、このドラマに登場するペンションの3人は、アナログ力というか、生から得られる感覚を大事にしている人たちかな、とも感じます。だから見ていて、テキトーなんだけどどうしようもない正しさみたいなものを感じるというか……。 斎藤 ガッチリかまえて受け取ってほしいというドラマでは、いい意味でないです。でも逆に、どこか心のすき間にポッと寄り添ってくれるようなドラマではあると思うんです。今はこういったエンターテイメントに触れるのは時期尚早な地域だったり状況の方もいらっしゃると思うんですけど、この、ある種“凪”のようなドラマが、少しでも誰かの救いになったり、心が温かくなってもらえたりしたらいいなと。そこは配信の良さで、今すぐじゃなくてもいつでも見ることができるので、必要なときに必要としてくれる方に届くことを心から願っております。 リリー 今は何かと世の中が張りつめていますから、こういうドラマをね。ほら、あえてNewJeansが抜け感のあるダンスをしているような。このドラマ、NewJeans寄りで、抜け感を大事にしているんですよ(笑)。 ーーまさに!(笑)。 今日はありがとうございました。 『ペンション・恋は桃色 season2』 ちょっと古いペンション『恋は桃色』。そこにいるのはオーナーのシロウ(リリー・フランキー)と娘のハル(伊藤沙莉)、そして話が長くて気難しいバイトのヨシオ(斎藤工)。「楽しければ何でもいい」がモットーのシロウは、どこがネジが飛んだお客も受け入れてしまい、今年の夏も何かと振り回されてばかり。さらに4年に1度、夏になると東京から遊びに来るヒカリ(山口智子)。彼女の破天荒な言動が、ペンションに新たな風を運んでくる。この変わりゆく時代に、不器用がゆえに上手く時代に融合できない彼らが教えてくれるものは? 私たちが普段忘れかけている大切なものにあらためて気づかせてくれる、温かくて不思議な物語。共演は他に関智一、剛力彩芽など。1/19よりFODにて全5話配信中。 ●リリー・フランキー 1963年生まれ、福岡県出身。イラストやデザインのほか、文筆、写真、作詞・作曲、俳優など、多分野で活動。初の長編小説「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」は06年本屋大賞を受賞、また絵本 「おでんくん」はアニメ化された。映画では、『ぐるりのこと。』(08/橋口亮輔監督)でブルーリボン賞新人賞、『凶悪』(13/白石和彌監督)と『そして父になる』(13/是枝裕和監督)で第37回日本アカデミー賞優秀助演男優賞(『そして父になる』は最優秀助演男優賞)など多数受賞。第71回カンヌ国際映画祭では、主演を務めた『万引き家族』(18/是枝裕和監督)がパルムドールを受賞。3/1より主演映画『コットンテール』が公開予定。 ●斎藤 工 1981年生まれ、東京都出身。幼い頃から映画好きで、映画の世界を目指すようになる。2001年に映画『時の香り~リメンバー・ミー』で俳優デビュー。2014年に出演したドラマ『昼顔~平日午後3時の恋人たち~』で大ブレイク。現在、月9ドラマ『君が心をくれたから』に出演中。また映画監督として、『スイート・マイホーム』『縁石 ふちいし』など多数の映画を製作もしている。 -------- Photos:Yuichi Sakakibara Interview&Text:Naoko Yamamoto
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