絶対的エースのFW郡司が決勝弾!V候補・市船が旋風を巻き起こす名古屋を下し、準決勝へ
絶対的エースが試合を決めた。 前半を1-1のスコアで終え、ハーフタイムを挟んで、後半に入ると、そのわずか2分後に市立船橋のFW10郡司璃来(3年)が”チームを勝たせるゴール“を奪ってみせた。 【フォトギャラリー】名古屋 vs 市立船橋 好機到来を逃さなかった。 右MF8足立陽(3年)の右からのクロスに対し、ニアサイドに詰めていた須甲優理(3年)の背後のスペースに向って猛然とダッシュ。相手のマークを振りほどき、ひと足早くボールを突っついた。 「最初はファーサイドにいたけれど、ボールがこぼれてくると感じたので、相手の前に入り込むことを考えて、一気にスピードを上げました。イメージどおりにうまくいきました」(郡司) 初出場ながら快進撃を続ける名古屋の堅守に阻まれ、「なかなかボールに触れず、前半はほとんど何もしていない」と郡司自身は振り返っていたが、後半すぐの刹那の勝負をしっかりものにした。これで、大会5点目。得点王争いのトップを走る郡司の“勝負強さ”には目を見張るばかりだろう。 指揮官の波多秀吾監督も「試合を重ねるごとに相手のマークが厳しくなっていますが、チームのために戦い、大事なゴールを決め、いい流れを作ってくれています」と、絶対的エースの活躍に目を細める。 市船の2トップである郡司とFW15久保原心優(2年)にマンマークをつけ、リトリートした守備陣形から鋭いカウンターをねらう名古屋に対し、ボールを動かしながらチャンスをうかがう市船。立ち上がりから試合の構図はハッキリしていた。 そんななか、先手を取ったのが市船だ。左SB3内川遼(3年)のクロスに足立がニアサイドで絡み、シュートまで持ち込む。いったんはクリアされたものの、久保原がヘッドで詰め、試合の主導権を握った。 だが、前半終了間際、名古屋に追いつかれる。 「大会に入って、いい勝ち方をして、どんどん成長してきたチーム。最大限の警戒心をもって臨もうと選手たちに伝えていました。相手の得意なロングスローのそのひとつでした」(波多監督) ボールを持ち、右タッチラインに向けて長い助走を開始する名古屋の左SB13月岡陸斗(3年)。3回戦の岡山学芸館(岡山)戦でも貴重な先制点につなげていたロングスローだ。月岡から繰り出された伸びやかなボールに最初に触ったのは、市船DFだった。だが、そのボールは市船ゴールに吸い込まれた。 先制しながら、前半のアディショナルタイムで振り出しに戻される。相手を元気づかせる嫌な展開だったが、そんな不穏な流れをエースが後半早々に断ちきった。 優勝候補の一角に挙げられる市船は12年ぶり6回目の選手権制覇に向けて、あと2勝。1月6日、準決勝で相まみえるのは、これまた優勝候補の青森山田(青森)だ。2023年度のU-18プレミアリーグでは1分け1敗と勝っていないだけに、大会は異なるものの、借りを返す絶好の機会でもあるだろう。 (文・写真=小室功)