【ラグビー】1年10か月ぶり復帰の木村貴大(東京サンゴリアス)。絵本を通じた社会貢献
「公式戦で自分がジャージーを着てプレーしている姿を再び全国のファンに見せることができ、本当に嬉しい」 12月24日三重・鈴鹿で行われた三重ホンダヒート×東京サントリーサンゴリアスで約1年10か月ぶりに公式戦出場を果たした木村貴大の言葉だ。 後半残り10分のところでSH齋藤直人に代わって出場し、堅実なプレーでチームの今季2勝目に貢献した。
その木村が翌日のクリスマスに姿を見せたのは、都内の病院だった。 ラグビー選手が病院にいると聞けば、多くの方はケガの治療を想像するだろう。 だが、今回は違う。 彼は病院で自身がクラウドファンディングを通じて制作した絵本を子どもたちにプレゼントしていたのだ。 ドナーを待つ子ども、無菌室で生活する子どもといった、自分たちで思うように外出ができない子どもたちは、現役ラグビー選手である木村の訪問とプレゼントに大喜びだ。 「『病気が治ったら試合を観に行きたい』という声もあがり、もっと頑張ろうと、逆に自分が子どもたちから背中を押されている」と木村は言う。 絵本制作のきっかけは、絵本作家の野見山友美氏との出会いだった。 木村は数年前からピッチ外で、様々な形で子どもたちと交流する活動をしている。 ただ、悩みを抱えていた。活動できる時間は限られている。子どもたちのそばに、常にいることはできない。 そんなとき野見山氏と出会い、これまでの活動中に、子どもたちのいる場所には常に絵本があったことに気づいた。 その原体験も重なり、絵本制作のクラウドファンディングに至った。 制作には7か月をかけ、誰に向けて、どのようなメッセージを伝えたいかを野見山氏とともに時間をかけ、納得いくまで練り続けた。 その時、実際にドナーを受けた経験のある子どもの親御さんからもフィードバックをもらった。 読み手にとって適切な表現となっているかなど、ディテールにもこだわった。 具体的な内容は割愛するが、木村がこの絵本を通じて読み手に最も届けたいメッセージがある。 「一人じゃない、みんなヒーロー」ということだ。 そんな想いがたっぷり詰まった絵本「よかったね。きむたかくん」を、木村は今後も、毎月子どもたちに配り続ける。 現役中に、子どもたちへ1000冊を配りたい。